ボスニア・ヘルツェゴビナの鉄道

ボスニア・ヘルツェゴビナの鉄道

ボスニア・ヘルツェゴビナの鉄道網は、中央バルカン地方における交通システムの要所であり、国の移動や物流に重要な役割を果たしています。ここでは、その運営状況や歴史、現在の復旧状況について詳しく説明します。

概要

ボスニア・ヘルツェゴビナの鉄道は、1992年までユーゴスラビア鉄道によって運営されていました。その後はボスニア・ヘルツェゴビナ連邦が管理する鉄道と、スルプスカ共和国が運営する鉄道に分かれました。この二つの運営方式は、分極化した国の状況を反映しています。現在、ボスニア・ヘルツェゴビナ全体の営業距離は約1,030kmに達し、そのうちの777kmが電化されています。また、複線化されている区間は88kmです。

歴史

ボスニアの鉄道は、1863年に着工されたボスニア帝国鉄道が起源です。最初の路線は1879年にボサンスキ・ブロドからドボイ、ゼニツァ間で開業しました。サラエヴォまでの路線も1882年に開通し、その後も地域に応じたさまざまなサイズの軌間が導入されました。
1879年から1918年の間に1611kmもの鉄道が建設され、この多くは1940年代から1970年代にかけて標準軌に改軌され、電化も進んでいきました。しかし、1992年に起こったボスニア・ヘルツェゴビナ紛争は鉄道インフラに深刻な影響を与え、かつては高い輸送密度を誇っていた鉄道も、その利用量は歴史的な最盛期の約20%まで激減しました。

車両

現在のボスニア・ヘルツェゴビナ鉄道では、760mm軌間の蒸気機関車が運行されています。中でも、ボスニア・ヘルツェゴビナ国有鉄道のIIIa4形やIIIa5形など、歴史的な車両が現在も大切に保管される一方で、現代的な設備の導入も図られています。

現在の運営状況

近年、鉄道施設の復旧は徐々に進められていますが、鉄道事業は依然としてボスニア・ヘルツェゴビナ連邦とスルプスカ共和国の二つに分かれたままです。このため、国際輸送において問題が生じないよう、1995年の合意を元に1998年に設けられた調整機構が、インフラの使用料金や他国の事業者との協議を行っています。また、1992年と1998年にはそれぞれ国際鉄道連合に加盟し、44番と50番のコード番号が付与されています。今後はさらなる復旧や車両の近代化が積極的に進められる見込みです。

隣接国との接続

ボスニア・ヘルツェゴビナは、隣国との鉄道接続状況も重要です。クロアチアとセルビアとは鉄道で接続が確立されていますが、モンテネグロとの接続はありません。これにより地域の交通網が左右され、特に国際的な輸送の効率に影響を与えることがあります。

まとめ

ボスニア・ヘルツェゴビナの鉄道は、その長い歴史と複雑な運営体制を抱えながらも、復興に向けて着実な進展が見られています。今後の発展が期待される分野であり、周辺国との連携を強化しながら国内の交通インフラを整備していくことが求められています。

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