ドボイ

ドボイ：ボスニア・ヘルツェゴビナ北部の歴史都市

ドボイ（セルビア語: Добој, ボスニア語: Doboj, クロアチア語: Doboj）は、ボスニア・ヘルツェゴビナ北部に位置する都市であり、スルプスカ共和国に属しています。古くからの歴史を持ち、鉄道輸送の要衝として発展してきました。この記事では、ドボイの歴史、紛争、経済、文化、交通、教育、スポーツなど、多角的な視点からドボイの魅力に迫ります。

歴史

ドボイの歴史は古く、公式記録では1415年に遡ります。ドゥブロヴニクが神聖ローマ皇帝シギスムントに発行した特許状にその名が記されています。周辺地域からは石器時代初期からの遺物も発見されており、古くから人が居住していたことがわかります。ローマ時代にはカストラや居住地が築かれ、1世紀頃には周辺の町が形成されました。

6世紀にはスラヴ人が移住し、バナト・ウソラ地域の一部となりました。13世紀初期にはドボイ要塞、コトロマニツ要塞が築かれ、15世紀初期に拡張されました。オスマン帝国時代の1490年にも拡張されています。この石の要塞は、9世紀から10世紀にかけて築かれた古い要塞の基盤上に建てられました。要塞は、北方からの侵入を防ぐ重要な役割を果たし、ゴシック・ローマ様式で築かれました。中世のドボイ周辺では多くの戦いが繰り広げられ、要塞の支配権はボスニアとハンガリーの間で何度も移り変わりました。1415年には、ハンガリーとボスニア・オスマン連合の間で大きな戦いが行われ、ハンガリー側が敗北を喫しました。その後も、要塞はオスマン帝国とハプスブルク家の間の境界線として重要な役割を果たし、1878年にハプスブルク家の手に落ちました。

第一次世界大戦・第二次世界大戦

第一次世界大戦中、ドボイにはオーストリア＝ハンガリー帝国によるセルビア人の強制収容所が設置されました。公式記録によると、1915年から1917年までの間に、兵士や女性、子供を含む45,791人が収容されました。ノーベル文学賞受賞作家のイヴォ・アンドリッチも一時、この収容所に投獄されていました。

第二次世界大戦中、ドボイはパルチザン抵抗運動の拠点となりました。1941年8月に最初の蜂起が起こり、戦争終結まで占領軍に対する抵抗運動が続けられました。この期間、ナチスの傀儡政権であるウスタシャによって、パルチザンを支持する市民が強制収容所に送られたり処刑されたりしました。2010年には、ドボイ近郊で殺害されたパルチザンの遺体が発見されています。ドボイは1945年4月17日に解放されました。

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争

1990年代初頭のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争時、セルビア系勢力によってボシュニャク人やクロアチア人の家や村落に対する略奪や破壊が行われました。女性への性的暴行や市民への拷問や虐殺も発生し、モスクの破壊や財産の略奪も広がりました。多くの非セルビア系住民は強制収容所に送られ、拷問や強制労働を強いられました。学校や工場はレイプキャンプとして使用されました。これらの犯罪には、地元のセルビア系民兵、ユーゴスラビア人民軍（JNA）、クライナ・セルビア人共和国、準軍事組織などが関与しました。ドボイの警察署長はジェノサイドの罪で有罪となり、終身刑に服しています。

人口動態と地勢

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争以前のドボイ基礎自治体は、現在よりも広い地域を管轄していました。戦前の基礎自治体の大部分はスルプスカ共和国の領域となり、南部の村落部はボスニア・ヘルツェゴビナ連邦のゼニツァ＝ドボイ県、東部の自治体はトゥズラ県に属しています。戦前のドボイ基礎自治体に含まれていた自治体は現在、ドボイ＝ユグ、ドボイ＝イストク、ウソラとなっています。ドボイ北郊にはペリ＝パンノニア平原が広がり、南郊や東郊には中央ボスニア山地が広がっています。

経済

紛争以前は鉄道輸送の拠点として、工業の中心地でもありましたが、現在は民営化や経営の失敗などによって多くが破綻しています。サービス業が主たる産業となっています。2008年にはスタナリ郊外で発電所の建設計画が始まり、鉄道輸送量が増える可能性もあります。

みどころ

13世紀に築城されたドボイ要塞の他、多くのカフェやバー、レストランなどがあり、様々な料理や音楽を楽しむことができます。

交通

ドボイは鉄道輸送の結節点として重要であり、アドリア海沿岸やバニャ・ルカ、ザグレブ、ヴィンコヴツィ、トゥズラ、ズヴォルニクへ繋がっています。将来的に欧州自動車道路75号線がドボイを経由する予定です。

教育

ドボイには私立大学であるスロボミル大学の分校や、いくつかのカレッジ、技術専門校、専門高校などがあります。

スポーツ

サッカークラブのFKスロガ・ドボイがスルプスカ1部リーグに所属しています。ドボイはスポーツ活動に適した場所であり、ハンドボールチームなどもあります。

ドボイは、歴史、文化、経済、交通など、様々な側面を持つ魅力的な都市です。ボスニア・ヘルツェゴビナを訪れる際には、ぜひドボイにも足を運んでみてください。

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