ボビー・ミッチェル (アメリカンフットボール)

ボビー・ミッチェル：NFLの伝説的ハーフバック、フランカー

ボビー・ミッチェル（Robert Coenelius Mitchell、1935年6月6日 - 2020年4月5日）は、アーカンソー州ホットスプリングス出身のアメリカンフットボール選手。NFLのクリーブランド・ブラウンズとワシントン・レッドスキンズでハーフバック、フランカーとして活躍し、1983年にプロフットボール殿堂入りを果たした。

プロ入りまでの道のり

高校時代は、アメリカンフットボール、バスケットボール、陸上競技、野球と、様々なスポーツで才能を発揮。MLBのセントルイス・カージナルスからのオファーもあったが、イリノイ大学への進学を選び、アメリカンフットボールを続ける道を選んだ。

2年次には控えRBだったが、エースRBの負傷によりチャンスが到来。ハーフバックのポジションを獲得すると、最初のボールキャリーで64ヤードのタッチダウンランを記録。この試合で10回のボールキャリーで173ヤードを獲得し、チームは全米ランキング3位のミシガン大学を25-6で破るという番狂わせを演じた。その後も2試合で100ヤード以上を走り、ディフェンスバックとしても起用され、1プレイあたり平均8.6ヤードを稼ぎ出す活躍を見せた。

3年次は膝の負傷に苦しんだが、4年次にはカレッジフットボール・オールスターゲームに出場。84ヤードのタッチダウンレシーブ、18ヤードのタッチダウンレシーブを決め、オールスターズをデトロイト・ライオンズを35-19で破る勝利に導き、MVPに選ばれた。また、陸上競技でも1958年2月に70ヤードハードルで7秒7の世界記録を樹立するなど、その運動能力の高さを示した。

アメリカンフットボールと陸上競技、どちらの道に進むか迷っていたミッチェルだったが、1960年のローマオリンピックを控える中、ブラウンズのヘッドコーチ、ポール・ブラウンから7000ドルを提示され、NFL入りを決意した。

クリーブランド・ブラウンズでの活躍

1958年のNFLドラフトで7巡目指名を受け、クリーブランド・ブラウンズに入団。ハーフバックとして起用され、ジム・ブラウンとのコンビは大きな力を発揮した。

1年目には98ヤードのキックオフリターンタッチダウンを記録。2年目のワシントン・レッドスキンズ戦では90ヤードのラッシングタッチダウンを含む232ヤードを走り、ニューヨーク・ジャイアンツ戦では78ヤードのパントリターンタッチダウンを記録。ブラウンズでの4年間で、ランで2297ヤード、レシーブで1463ヤード、パントリターンで607ヤード、キックオフリターンで1550ヤードを稼ぎ、38タッチダウンをあげた。彼があげたキックオフリターンタッチダウン3回は、今もなおブラウンズの記録として残っている。

ワシントン・レッドスキンズへの移籍と新たな挑戦

1962年、ワシントン・レッドスキンズへ移籍。当時のヘッドコーチ、ビル・マクピークは彼をフランカーとして起用した。移籍後最初の試合となったダラス・カウボーイズ戦では92ヤードのキックオフリターンタッチダウンを記録。この年、リーグトップの11タッチダウン、72キャッチで1384ヤードを稼ぎ、プロボウルに選出された。

1963年には69回のキャッチで1436ヤードを稼ぎ7タッチダウンを記録。その後も4年間、安定して60前後のパスレシーブを記録し続けた。1967年に新ヘッドコーチとなったオットー・グレアムは、彼をハーフバックに、チャーリー・テイラーをワイドレシーバーにコンバート。ポジションが変わったものの、この年60回のキャッチで866ヤードを稼ぎ6タッチダウンを記録した。

1969年にヴィンス・ロンバルディがヘッドコーチに就任すると、彼はフランカーのポジションに戻されたが、トレーニングキャンプで満足できるプレーができなくなったことを悟り、引退を決意した。

レッドスキンズ加入後6シーズンは58回以上のレシーブを記録。引退までにレシーブで7954ヤード、ランで2735ヤードを獲得し、オールパーパスヤードは当時歴代2位の記録であった。ランで18回、レシーブで65回、パントリターンで3回、キックオフリターンで5回、合計91回のタッチダウンを記録した。

引退後

現役引退後、ロンバルディヘッドコーチの要請でスカウトとしてレッドスキンズのフロント入りし、その後アシスタントゼネラルマネージャーにも就任。長年チームに貢献した。

私生活と晩年

引退後もワシントンD.C.に在住し、弁護士の妻と暮らした。1980年からは、ボビー・ミッチェル・ホールオブフェイムクラシックというゴルフ大会を毎年開催していた。2020年4月5日に84歳で死去。

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