ボブ・ウッドワード

ボブ・ウッドワードは、1943年生まれのアメリカ人ジャーナリストであり、ワシントン・ポスト紙の編集委員（名誉職）を務めています。彼は、カール・バーンスタイン記者と共に、ウォーターゲート事件における卓越した調査報道で広く知られています。

生い立ちと経歴

イェール大学を卒業後、ウッドワードは海軍に勤務し、その際にホワイトハウスとの連絡係として、後に「ディープ・スロート」として知られるマーク・フェルトと知り合いました。海軍を退役後、地方紙での勤務を経て、ワシントン・ポスト紙に入社しました。

ウォーターゲート事件の報道

当初は単なる侵入事件と見られていたウォーターゲート事件を、ウッドワードはバーンスタインと共に徹底的に調査しました。FBI副長官であったフェルトの協力も得て、ニクソン政権の組織的な関与を明るみにしました。この報道は全国的な注目を集め、政権からの圧力にも屈しなかったポスト紙と2人の記者は、ピューリッツァー賞を受賞しました。

その後の活躍

ウォーターゲート事件後も、ウッドワードはクリントン政権のチャイナゲート事件など、ワシントンの政界を主な取材対象として、積極的な調査報道を続けました。ニクソン政権の終焉を描いた『最後の日々』から、ブッシュ政権のイラク政策の迷走を描いた『ブッシュのホワイトハウス』まで、彼の著作は常にジャーナリズムの世界で大きな注目を集めています。近年では、2018年にドナルド・トランプ政権の内幕を描いた『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』を出版し、話題となりました。

著作一覧（邦訳）

単著

『ヴェール――CIAの極秘戦略1981-1987』（文藝春秋、1988年）
『ベルーシ殺人事件――ハリウッドスターたちとドラッグの証言』（集英社、1985年）
『ベルーシ最期の事件―ハリウッドスターたちとドラッグの証言』（集英社文庫、1989年）
『司令官たち――湾岸戦争突入にいたる"決断"のプロセス』（文藝春秋、1991年）
『大統領執務室――裸のクリントン政権』（文藝春秋、1994年）
『権力の失墜――大統領たちの危機管理』（全2巻、日本経済新聞社、2000年／日経ビジネス人文庫、2004年）
『グリーンスパン――アメリカ経済ブームとFRB議長』（日本経済新聞社、2001年／日経ビジネス人文庫、2004年）
『ブッシュの戦争』（日本経済新聞社、2003年）
『攻撃計画――ブッシュのイラク戦争』（日本経済新聞社、2004年）
『ディープ・スロート――大統領を葬った男』（文藝春秋、2005年）
『ブッシュのホワイトハウス』（上・下、日本経済新聞社、2007年）
『オバマの戦争』（日本経済新聞出版社、2011年）
『政治の代償』（日本経済新聞出版社、2013年）
『FEAR 恐怖の男 トランプ政権の真実』（日本経済新聞出版、2018年）
『RAGE 怒り』（日本経済新聞出版、2020年）

共著

（カール・バーンスタイン）『大統領の陰謀――ニクソンを追いつめた300日』（立風書房、1974年／文藝春秋［文春文庫］、1980年、新装版2005年／ハヤカワ文庫、2018年）
（カール・バーンスタイン）『続 大統領の陰謀――最後の日々』（立風書房、1978年／文春文庫、1980年）
（スコット・アームストロング）『ブレザレン――アメリカ最高裁の男たち』（TBSブリタニカ、1981年）
（ロバート・コスタ）『PERIL 危機』（日本経済新聞出版、2021年）

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ボブ・ウッドワードは、その卓越した調査報道と、政権の内幕を容赦なく描き出す姿勢で、ジャーナリズムの世界に多大な影響を与え続けています。

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