ボブ・デイヴィス

ボブ・デイヴィス：先駆的なプレイメイカー

ロバート・エドリス・デイヴィス（1920年1月15日 - 1990年4月22日）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州ハリスバーグ出身の元バスケットボール選手。その創造性あふれるプレースタイルで、NBAに革命をもたらした名選手として知られています。

大学時代

シートン・ホール大学に進学したデイヴィスは、当初野球での奨学金を得ていました。しかし、コーチのハニー・ラッセルにバスケットボールの才能を見出され、転向を決意します。大学時代の通算成績は11.2得点と、傑出したスコアラーではありませんでしたが、卓越したパスセンスとゲームを組み立てる能力でチームを牽引しました。彼のリーダーシップの下、シートン・ホール大学は1939年から1941年にかけて43連勝という驚異的な記録を達成。1941年3月には、マディソン・スクエア・ガーデンでの試合で当時のバスケットボール観客動員記録となる18,403人を動員し、ロードアイランド大学を破りました。

プロキャリア

大学卒業後、地方リーグでプレイしていたデイヴィスは、第二次世界大戦中に海軍で兵役を務めます。終戦後、1946年に創設されたNBL（ナショナル・バスケットボール・リーグ）のロチェスター・ロイヤルズ（後のサクラメント・キングス）に入団。デイヴィスの加入により、ロイヤルズは初年度にしてNBLチャンピオンに輝き、その後も3年連続でファイナルに進出しました。1946-47シーズンには、デイヴィス自身もNBLのシーズンMVPを獲得しています。

1948年、ロイヤルズはBAA（NBAの前身）に加入し、デイヴィスのNBAキャリアがスタート。彼はNBAでもトップ選手としての地位を確立し、加入初年度には321アシスト（平均5.4アシスト）でアシスト王に輝き、オールNBA1stチームにも選出されました。その後も4シーズン連続でオールNBA1stチームに選ばれています。デイヴィス、ボビー・ヴァンツァー、アーニー・ライゼンの３選手を中心にロイヤルズはNBA加盟後も強豪チームとして君臨し、1951年にはNBAファイナルに進出。ニューヨーク・ニックスとの激戦を制し、見事優勝を果たしました。翌シーズンもデイヴィスは16.2得点6.0アシストと好成績を残しましたが、ロイヤルズは徐々に衰退。35歳となった1954-55シーズンを最後に、現役を引退しました。NBA（BAA）通算成績は6594得点（平均14.3得点）、2250アシスト（平均4.9アシスト）でした。

プレースタイルと業績

デイヴィスは、NBAにおける最初の「真の司令塔」と評されています。彼がアシスト王に輝いた際の平均5.4アシストという数字は、前シーズンのアシスト王ハウイー・ダルマーの2.5アシストを大きく上回るものでした。デイヴィスの登場以降、アンディ・フィリップやボブ・クージーといった名PGたちが台頭し、ポイントガードというポジションの重要性が飛躍的に高まりましたが、デイヴィスは彼らの先駆け的存在でした。

また、一般的にクージーによって広められたとされるビハインド・ザ・バック・ドリブルも、デイヴィスが最初に使用していたという証言があります。彼はトリッキーなプレイで観客を魅了し、「ハリスバーグ・フーディーニ」という異名を得ました。

受賞歴・その他

NBL MVP：1947年
オールNBA（BAA）1stチーム：1949年, 1950年, 1951年, 1952年
オールNBA2ndチーム：1953年
NBAオールスターゲーム：1951年, 1952年, 1953年, 1954年
バスケットボール殿堂入り
NBA25周年オールタイムチーム
* 背番号『11』はサクラメント・キングスの永久欠番

コーチキャリア

デイヴィスは現役選手時代の1946年、母校のシートン・ホール大学で1シーズンだけコーチを務め、24勝3敗の成績を収めました。引退後はゲティスバーグ・カレッジで2シーズン采配を振るいました。

ボブ・デイヴィスは、その革新的なプレースタイルとリーダーシップで、NBAの歴史に名を刻んだ偉大な選手です。

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