ボブ・ラブ

ボブ・ラブ：苦難を乗り越え、ブルズを支えた男

ボブ・ラブ（本名：ロバート・アール・ラブ、1942年1月28日 - 2024年11月18日）は、アメリカ合衆国のプロバスケットボールリーグNBAで活躍した元プロバスケットボール選手です。ルイジアナ州バストロップ出身。シカゴ・ブルズのエースとして活躍し、背番号「10」はブルズの永久欠番となっています。

貧困からの出発

14人兄弟の1人として生まれたラブは、父親に家族を捨てられ、母親は農場で働くという恵まれない環境で育ちました。南部における黒人への差別も根強く残る時代、彼を取り巻く環境は決して楽なものではありませんでした。しかし、祖母の愛情に支えられ、バスケットボールに熱中するようになります。満足に道具も揃えられない中、ハンガーを曲げてバスケットを作り、靴下を丸めてボールの代わりにするなど、工夫を凝らして練習に励みました。

困難を乗り越え、才能を開花

モアハウス高校に進学すると、持ち前の身体能力を発揮し、バスケットボールとフットボールで才能を発揮。栄養失調で倒れることもありましたが、フットボールのコーチが食事を提供するなど、周囲のサポートを受けながら成長していきます。また、酷い吃音症に悩まされていたラブですが、コーチは彼に歌を歌わせることで、チームメイトへの指示を円滑に行えるようにしました。こうして様々な困難を乗り越え、大学進学のための奨学金を得るまでに成長。サザン大学に進学し、カレッジバスケのスター選手として活躍、オールアメリカンにも選出されました。

NBAでの挑戦

1965年のNBAドラフトでシンシナティ・ロイヤルズから指名を受けますが、4巡目33位という低い評価。契約にも至らず、独立リーグで1シーズンプレイした後、ロイヤルズとようやく契約を結びました。しかし、ロイヤルズでは活躍の機会に恵まれず、ミルウォーキー・バックスへ移籍。その後、シカゴ・ブルズへトレードされることになります。

ブルズでの飛躍

ブルズ移籍後、ディック・モッタがヘッドコーチに就任したことがラブにとって大きな転機となります。1969-70シーズンには、21.0得点8.7リバウンドと、それまでのキャリアを大幅に上回る成績を記録。チームのエーススコアラーへと成長し、6シーズン連続で平均20得点以上を達成しました。1970-71シーズンには25.2得点を記録し、オールスターとオールNBA2ndチームに初選出。翌1971-72シーズンにはキャリアハイとなる25.8得点を記録し、オールNBA2ndチームとオールディフェンシブ2ndチームに選出されるなど、全盛期を迎えました。ジェリー・スローン、チェット・ウォーカーらと共に、ブルズは1970年代前半に黄金期を築き、ラブはその中心選手としてチームを牽引しました。

引退と苦難、そして復活

キャリア晩年は背中の故障に苦しみ、1977-78シーズン途中にブルズを去り、ニューヨーク・ニックスへ。その後、複数のチームを渡り歩き、現役を引退しました。引退後、背中の故障が悪化し、歩行困難になる可能性も示唆されます。さらに、妻に去られるなど、不幸が重なりました。吃音症が再発し、職を見つけることも困難な状況が7年間も続きました。しかし、ノードストロームのオーナーの支援により、言語療法を受け、吃音症を克服。1993年にはシカゴ・ブルズのコミュニティー・リレーションズディレクターに就任し、講演活動など精力的に活動しました。

永久欠番と晩年

1995年には、シカゴ・ブルズでの功績を称えられ、背番号「10」が永久欠番となりました。同年、シアトル時代に出会った女性と結婚。1999年には自伝を出版。がんとの闘病の末、2024年11月18日にシカゴで死去。81歳でした。

主な業績

NBAオールスターゲーム出場：1970年－1972年
オールNBA2ndチーム：1971年, 1972年
オールディフェンシブ2ndチーム：1972年, 1974年, 1975年
背番号『10』はシカゴ・ブルズの永久欠番

ボブ・ラブは、苦難を乗り越え、NBAで輝かしい実績を残しただけでなく、引退後も社会貢献活動を通じて多くの人々に勇気を与えた人物として、その名は語り継がれるでしょう。

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