ボヘミア・モラビア共産党

ボヘミア・モラビア共産党：チェコ共和国の左派政党

ボヘミア・モラビア共産党（KSČM）は、チェコ共和国における主要な左派政党です。1989年のチェコスロバキア共産党の解体という歴史的転換期において、ボヘミアとモラビアを基盤とする下部組織として誕生しました。その後、チェコスロバキア共産党はKSČMとスロバキア共産党（後に民主左翼党に改名）へと正式に分裂し、KSČMは独自の道を歩むことになります。

KSČMは、党名に「共産主義」を冠する唯一のポスト共産主義政党として、東欧諸国において特異な存在感を示しています。1989年以降、党綱領の改定が行われましたが、社会主義への移行という長期的目標は堅持されています。主要な支持基盤は、年金生活者や地方居住者といった高齢層であり、チェコにおける地方自治体においては、チェコ社会民主党と連立政権を組むケースも多く見られます。

KSČMの政策

KSČMの政策は、新自由主義的な市民民主党（ODS）への対決姿勢を鮮明に打ち出しています。

経済政策においては、国家による積極的な介入を重視し、中小零細企業への支援強化を訴えています。これは、市場原理への全面的な委ね方を批判し、国家による保護・育成が必要との考えに基づいています。

社会政策では、社会的弱者、特に高齢者や年金生活者の権利保護を最優先課題として掲げています。充実した年金制度や医療制度の確立、生活水準の向上などを目指し、国民生活の安定化に重点を置いています。

外交・安全保障政策においては、アメリカ合衆国とNATO（北大西洋条約機構）の政策に批判的な立場をとっており、将来的にはNATOからの脱退を主張しています。国際関係においては、国際連合を中心とした多国間主義を重視し、OSCE（全欧安全保障協力機構）の積極的な活用を提唱しています。

さらに、労働組合や市民団体との連携強化にも力を入れており、幅広い社会層との協調関係を構築することで、政策実現を目指しています。

選挙におけるKSČM

KSČMは、チェコ共和国の議会選挙において、一貫して議席を獲得してきました。1992年の連邦解体後、下院選挙においては、常に一定の議席数を確保し、時には第3党となるほどの勢力を持っていました。特に2002年の下院選挙では、18.5%という得票率で41議席を獲得し、躍進を遂げました。しかし、その後は支持率の減少傾向が見られ、2021年の下院選挙では、議席獲得に必要な5%の得票率に届かず、初めて議席を失う結果となりました。この結果を受け、党首が交代しています。

上院選挙においては、2014年以降議席を獲得できていません。欧州議会選挙では、2004年の第1回選挙で第2党となるなど、一定の勢力を有していましたが、近年は議席数を減らしています。

国際交流

KSČMは、国際的な交流にも積極的に取り組んでおり、特に日本共産党との関係は深いものがあります。両党は互いの党大会に代表を派遣したり、祝電を交換したりするなど、活発な交流を行っています。

結論

ボヘミア・モラビア共産党は、チェコ共和国の政治において、重要な役割を担ってきた左派政党です。社会主義への移行という理想を掲げ、高齢者や地方住民層からの支持を基盤に活動を続けていますが、近年は支持率の低下に直面しています。しかしながら、日本共産党などとの国際交流を通じて、その存在感を維持し続けています。今後のKSČMの動向が注目されます。

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