ボリビアーノ

ボリビアーノ (Boliviano)

ボリビアーノ（boliviano）は、南米ボリビアの通貨単位です。複数形はボリビアーノス（bolivianos）といい、略称はBsで、単数形と複数形の両方に使われます。ボリビア人の日常会話では、1986年まで使われていた「ペソ」と呼ばれることもあります。

概要

現在、1、2、5ボリビアーノスは硬貨として、10、20、50、100、200ボリビアーノスは紙幣として発行されています。補助単位として1ボリビアーノの100分の1にあたるセンターボがあり、10、20、50センターボの硬貨が流通しています。以前は1、2、5センターボ硬貨も存在しましたが、価値が低下したため、現在ではほとんど使われていません。

ハイパーインフレと通貨改革

1980年代中頃、ボリビア経済は政治情勢不安から深刻なインフレに見舞われました。1985年には年率8,171%に達し、同年9月には前年同月比で24,000%という驚異的なインフレ率を記録しました。当時、紙幣の印刷はヨーロッパの印刷会社に委託されていましたが、大西洋航路を経てブラジルから陸路で輸送される間に、紙幣の価値が著しく低下してしまうという事態が発生しました。

この危機的状況を打開するため、1986年11月27日に100万分の1のデノミネーションを柱とする通貨改革法が成立し、1987年1月1日に旧100万ペソを1ボリビアーノとするデノミネーションが実施されました。

インフレ抑制策と経済改革

同時期に、通貨切り下げと物価凍結令をセットにしたインフレ抑制策を実施した近隣諸国とは異なり、ボリビアでは財政赤字解消のため、国営部門の民営化と人員削減を徹底的に行いました。この結果、失業問題が深刻化し、多くの人々が職を求めてアルゼンチンなどの近隣諸国へ出稼ぎに出ましたが、これらの国々でも1987年以降経済が破綻し始めたため、出稼ぎ労働者の多くはボリビアに帰国しました。

1964年の軍事クーデターで失脚したビクトル・パス・エステンソロは、民政移管後の1985年に大統領に復帰しました。彼は元々社会主義的な政策を主張していましたが、アメリカの経済学者の進言を受け入れ、「インフレ問題の解決には経済の自由化と財政の健全化が不可欠」と方針を転換。また、累積債務問題に関しても、債務の減免を含む返済スケジュールの見直しを債権国に求めました。これらの改革は多くの困難を伴いましたが、パスが大統領を退任した1989年には、インフレ率は中南米でも最低水準の年20%台まで鎮静化し、その後の経済安定化につながりました。

現在の状況

2020年3月現在、対日本円の交換レートは1ボリビアーノあたり約15円です。インフレが収束した1980年代後半（1米ドル=2ボリビアーノ前後）と比較すると、主要国通貨に対して1/4程度まで価値が下がっていますが、1985年以降変動相場制に移行し、下落傾向が続く隣国パラグアイのグアラニーに比べると、その変動幅は小さいと言えます。

ボリビアーノは、ハイパーインフレを経験し、その克服のために大胆な経済改革を行ったボリビアの歴史を象徴する通貨と言えるでしょう。

脚注

対日本円のレートは変動します。
経済情勢により、価値変動が大きくなる場合があります。

関連項目

ボリビア経済
ハイパーインフレ
デノミネーション

外部リンク

ボリビアの紙幣 （英語）（ドイツ語）

もう一度検索