ボルボ・アステローペ

アステローペ（Asterope）

アステローペは、富士重工業（現：SUBARU）が企画した大型観光バスであり、ボルボ社のセンターアンダーフロアエンジンシャーシB10Mを基にして1987年から2001年まで製造されました。このバスは、日産ディーゼルによって販売されており、観光輸送のために設計された優れた車両です。

概要

アステローペは、つくば科学万博で使用されたスーパーシャトルバスや京成バスが運行する連節バスと同じボルボ製のB10Mシャーシを利用しています。この独特なシャーシデザインにより、エンジンはホイールベースの中央に配置されており、その結果、リアオーバーハング部分の空間が広がっています。この空間を利用して2階建てにすることができ、通常はサロンやラウンジスペースとして利用されていました。運行方式も工夫されており、ワンマン運行が可能であることから、「セミダブルスーパーハイデッカー（SSD）」という名称でも知られています。また、特別にスーパーハイデッカー（SHD）仕様も登場します。

アステローペのトランスミッションには、他の観光バスとは異なりAT（オートマチック[[トランスミッション]]）を採用しており、異なる運転体験を提供します。後のモデルでは、MT（マニュアルトランスミッション）バージョンも登場しましたが、生産数は極めて少数でした。エンジン面では、アステローペは約10リットルの直列6気筒ターボエンジン（THD102KE型、320 PS）を搭載しており、当時の国産観光バスが主に17 - 20リットル級のV型8気筒エンジンを使用しているのに対し、アステローペは経済性にも優れていました。そのため、高速道路での長距離運送に適した車両となり、1990年代には高速バスとしての利用も増加しました。

1997年からの排出ガス規制に適合したモデルでは、348 PSに向上したDH10型エンジンが使用されたものの、新たな長期規制には適合できず、2001年に生産は終了しました。

シリーズの変遷

アステローペのシリーズは何度かのマイナーチェンジを経て進化を続けました。1987年に発売された初期モデルP-B10Mは、R15型HD-2を基にした専用ボディを持ち、角張ったフロントデザインが特徴でした。1990年にはデザインの変更が行われ、大型化されたラジエーターグリルと直線的な側面窓のラインが印象的でした。

その後、1990年に導入されたU-B10MCモデルでは、より丸みのあるデザインに変更され、内装の配置にも配慮されるようになります。このモデルは、排出ガス規制にも適合し、さらにエンジンにも改良が行われ、性能が向上しました。1996年にはさらにマイナーチェンジが行われており、外観に新たなコンビネーションランプを採用され、より現代的な印象が与えられました。

最後に1997年に登場したKC-B10MDは、最新の排出ガス規制に適合したモデルであり、さらなる性能向上が図られたバスです。

代表的なユーザー

このバスは、さまざまな交通事業者によって広く利用されていました。光洋タクシーや富士交通、羽後交通などが代表的な利用者で、特に観光バス運行において活躍しました。さらに、日産観光や東北急行バスもアステローペを導入し、観光施設への送迎や長距離輸送に使用していました。また、ジェイアールバス関東が導入した28台のアステローペは、その多様性を物語っています。

まとめ

アステローペは、長年にわたり高い評価を得てきた大型観光バスであり、特に長距離運行における燃費の良さが高く評価されています。洗練されたデザインと、運行の効率性から現在でも多くのファンが存在する車両です。

もう一度検索