ボルボ・140

ボルボ140シリーズ：安全性を追求したロングセラーモデル

1966年から1974年まで、スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ社によって生産されたボルボ140シリーズは、同社の歴史において重要な位置を占めるモデルです。120シリーズ（アマゾン）をベースに開発されましたが、安全性への配慮は従来を大きく凌駕していました。角張ったボディデザインは、衝突時の衝撃吸収を目的としたクラッシャブルゾーンを前後に備えており、側面衝突への安全性も強化されています。厚いドア、2系統式の4輪ディスクブレーキ（片側故障時でも80%の制動力を確保）、衝撃吸収式ステアリングコラム、改良されたシートベルトロック機構など、数々の安全装備が標準で搭載されました。

モデルバリエーションと生産期間

当初は4ドアセダンの「144」と上級モデル「144S」の2車種からスタートしました。その後、1967年にはステーションワゴンの「145」、1968年には2ドアセダンの「142」が追加され、ラインナップは充実していきます。さらに同年、直列6気筒エンジンを搭載した高級モデル「164」も登場しました。

1970年にはマイナーチェンジを実施。フロントグリルデザインを変更し、エンジン排気量を2000ccに拡大しました。グレード体系も「DL（デラックス）」と「GL（グラン・リュックス）」の2種類となりました。1973年には再びマイナーチェンジを行い、フロントグリル、ダッシュボードのデザインが刷新されました。そして最終モデルとなった1974年モデルでは、米国市場の安全基準への適合を目的として、衝撃吸収バンパーが標準装備されました。

140シリーズは、1974年秋に後継モデルである240シリーズにバトンタッチしますが、その基本設計思想は240シリーズが生産終了した1993年まで引き継がれました。約8年間の生産期間中に523,808台が生産されました。

ボルボ140シリーズのネーミング

ボルボ140シリーズは、「シリーズ名・エンジン気筒数・ドア数」を3桁の数字で表現するネーミング方法を採用した最初のモデルとなりました。この方式は、ドア数の区別がなくなったものの、1990年代半ばまでボルボ車の命名規則として使用されました。

世界への輸出と導入

ボルボ140シリーズは世界各国へ輸出され、日本でも当時輸入代理店であった北欧自動車を通して、ヤナセが販売を担当しました。また、北朝鮮も1970年代初頭に144型を1000台輸入し、その一部は2014年現在も平壌市内でタクシーとして使用されているという興味深い事実があります。

ボルボ140シリーズの遺産

ボルボ140シリーズは、単なる乗用車を超えた存在でした。その堅牢性、安全性、そして時代を先取りしたデザインは、後のボルボ車にも大きな影響を与え、ボルボのブランドイメージを確立する上で重要な役割を果たしました。高い安全性と信頼性を両立させたモデルとして、自動車史にその名を刻んでいます。長きに渡り愛され続けたその姿は、時代を超えて人々を魅了し続けています。 ボルボ140シリーズの開発思想は、現代の自動車における安全技術の進化にも繋がっており、その功績は計り知れません。

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