ボロジノ級戦艦

ボロジノ級戦艦

ボロジノ級戦艦（Borodino-class battleships）は、ロシア海軍に所属する前弩級戦艦の艦級です。この艦級は、フランスの造船士官アントワーヌ・ジャン・アマブル・ラガヌによって設計された「ツェサレーヴィチ」を基に、ロシアが改設計を施し、建造されたものです。フランス式の設計は、タンブルホーム型船体や、副砲を砲塔に収めるという特徴を持っています。しかし、ロシア側の設計ミスや建造上の不備により、艦の重量が増加し、舷側装甲が薄くなってしまいました。また、設計時の不手際により実際の排水量が計画を上回り、復原性が低下したため、結果として失敗作となってしまいました。

背景

この艦級の計画が始まったのは、大日本帝国海軍が12インチ砲装備の戦艦を相次いで購入していたことに対抗する必要があったためです。ロシア帝国海軍は、太平洋艦隊向けに建造された「ペレスヴェート級」では力不足だと判断し、1898年に新型戦艦2隻を外国に発注しました。その中の1隻が「ツェサレーヴィチ」で、フランスからライセンス生産の許可を得たことで、ボロジノ級の建造が承認されました。

艦形

ボロジノ級の船体形状は、乾舷高い平甲板型で、特徴的なタンブルホーム型を有しています。この設計は、複雑な曲線を用いて水線部分の構造を引き絞ることで、艦体重量を軽減する意図から生まれました。水線下部から艦首・艦尾にかけての突出も目立ち、舷側装甲部分が他の艦船と異なる形状を持ちます。このデザインにより、艦の前後に均等に装甲を貼る「全体防御方式」を採用しています。

艦首部分には30.5cm連装主砲塔が装備され、そこから艦橋に司令塔が設置されてミリタリーマストが立っています。この構造は、当時の水雷艇による攻撃に対処するためのもので、見張り台と機関砲が配置されています。

さらに、本艦は艦載艇置き場と後部ミリタリー・マストを有しており、30.5cm連装主砲も後向きに配置されています。

主砲

ボロジノ級の主砲には、「Pattern 1895 30.5cm（40口径）砲」が採用されており、331.7kgの砲弾を14,640mまで届かせることができます。この砲は新設計の連装砲塔に収められ、電力を用いて俯仰や旋回を行います。当初は毎分1発の発射速度が計画されていましたが、実際にはもっと速い頻度での発射が可能でした。

その他の備砲と機関

副砲には「Pattern 1892 15.2cm（45口径）速射砲」を搭載し、7.5cmや4.7cmの砲も採用されています。対水雷艇攻撃や近接戦闘用に設計されたこれらの砲は、戦闘において多様な状況に対応できるように装備されています。

機関については、ボロジノ級は特有の缶室配置を持ち、直立型の三段膨張式四気筒レシプロ機関を採用しています。煙突は前部と後部にそれぞれ1本ずつ配置されており、効率的な運用が可能です。

艦歴

ボロジノ級は1903年から1905年にかけて竣工しました。日本海海戦には4隻が参加しましたが、旗艦「クニャージ・スヴォーロフ」を含む3隻が沈没し、残った「オリョール」は捕獲されました。最後の1隻「スラヴァ」は第一次世界大戦中にドイツ艦隊と戦い、最終的には自沈することとなりました。ボロジノ級は、技術的な問題がありながらも当時の護衛艦として重要な役割を果たしました。

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