ボンド郡 (イリノイ州)

ボンド郡の歴史と文化

ボンド郡は、アメリカ合衆国イリノイ州南部に位置する郡で、その歴史は1817年にマディソン郡から分離して設立されたことに始まります。郡名は、初代イリノイ州知事であるシャドラック・ボンドに敬意を表して名付けられました。2010年の国勢調査では、人口17,768人と報告されています。郡庁所在地のグリーンビルは、郡内で最も人口の多い都市であり、セントルイス大都市圏の一部を構成しています。

グリーンビルの発展

グリーンビルは1819年に郵便局が開設され、その後、町として、さらに市として発展を遂げました。この町の名前の由来には諸説あり、ノースカロライナ州のグリーンビルに因む説、初期の開拓者トマス・ホワイトがその緑豊かな風景を称えた説、そして最初の商人グリーン・P・ライスにちなむ説などが存在します。

奴隷制度と地下鉄道

ボンド郡では、1824年に奴隷制度の認可をめぐる住民投票が行われ、反対が多数を占めましたが、当時は奴隷を保有する州が近くにあったため、「年季奉公」という形で奴隷制度が残存していました。郡内には、奴隷として登録された人々がおり、その中には、郡内で最後まで生きたサイラス・レジスターのような人物もいます。

1840年代には、奴隷解放を支援する地下鉄道の活動も活発に行われました。リノの教師T・A・ジョーンズが発見した手紙には、奴隷がミズーリ州からボンド郡へ逃れるルートや、活動を支援した人々の名前が記録されています。ジョン・リーパー牧師やヘンリー・パーリン医師、ジョージ・デニー牧師らが、それぞれの立場で奴隷解放運動に貢献しました。

グリーンビル・カレッジ

グリーンビル・カレッジは、1855年にアルミラ・カレッジとして設立されました。この大学は、祈りに基づいて設立され、その精神が受け継がれていることを、当時の学長H・J・ロングが宣言しました。この大学は地域における教育と文化の中心として重要な役割を果たしています。

歴史的な出来事

1858年には、エイブラハム・リンカーンとスティーブン・ダグラスが、アメリカ合衆国上院議員候補指名を得るための討論会をグリーンビルで開催しました。ダグラスはこの地を訪れた際、歓迎ぶりに大きな喜びを感じたと述べています。

ボンド郡の女性たちは1914年に初めて選挙権を得ました。1915年には、パナマ太平洋国際博覧会で展示された「自由の鐘」が、帰還途中にグリーンビルを通過し、地域住民の注目を集めました。グリーンビル公共図書館はカーネギー図書館として設立され、アメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されています。また、グリーンビル・カレッジにあるホーグ・ホールも同様に指定されています。

世界恐慌の際には、州政府と連邦政府からの緊急物資の配給に不満を持つ人々が、イリノイ州緊急援助委員会まで行進しました。1980年には、ロナルド・レーガンが大統領選挙運動中にグリーンビルを訪れました。また、2004年には、バラク・オバマも上院議員選挙運動中にこの地を訪れています。

地理と気候

ボンド郡の総面積は約991.3平方キロメートルで、そのうち陸地が約984.9平方キロメートル、水域が約6.4平方キロメートルを占めています。郡の気候は、四季の変化がはっきりとしており、気温は1月には平均で-6℃まで下がり、7月には33℃まで上昇します。年間降水量は5月が最も多く、2月が最も少なくなっています。

人口と行政

ボンド郡は、9つの郡区に分割されています。郡内には、グリーンビルを含むいくつかの都市と町が存在します。教育面では、ボンド郡・コミュニティ・ユニット教育学区第2をはじめ、複数の学区が教育を担っています。政治的には、アメリカ合衆国下院議員イリノイ州第19選挙区、イリノイ州下院議員第102選挙区、イリノイ州上院議員第51選挙区に属しています。

まとめ

ボンド郡は、歴史的な背景と豊かな自然に恵まれた地域であり、その多様な文化と歴史が魅力となっています。グリーンビルの発展、奴隷制度の歴史、政治家の訪問、そして教育機関の存在など、様々な側面からその魅力を感じることができます。

もう一度検索