ボンベルタ百貨店

イオングループの百貨店ブランド「ボンベルタ」：その歴史と終焉

「ボンベルタ」という響きは、フランス語の「Bon」（良い）とイタリア語の「Belta」（美しい）を組み合わせた、洗練された印象を与えます。この名前は、イオングループ（当時ジャスコ）がかつて展開していた百貨店ブランドのものでした。1970年代から伊勢甚グループとの業務提携や、他百貨店の再建を通して百貨店事業に携わってきたジャスコは、1983年9月、埼玉県上尾市に「ボンベルタ上尾」を開業。これがジャスコグループ直系の百貨店1号店となり、「ボンベルタ」ブランドの幕開けとなりました。

ダイエーの「プランタン」、イトーヨーカ堂の「ロビンソン百貨店」といった、大手スーパーマーケットが展開する百貨店ブランドと同様に、「ボンベルタ」もその名を連ね、一定の成功を収めました。しかし、時代の流れとともに、多くの店舗が閉鎖もしくは業態転換を余儀なくされました。いくつかの店舗はイオングループとの提携を解消し、独立経営へと舵を切りました。

結果として、「ボンベルタ」ブランドを冠する店舗は、千葉県成田市にある「ボンベルタ成田」1店舗のみとなりました。しかし、この最後の店舗も2024年2月29日をもって閉鎖。イオンリテールによる「そよら成田ニュータウン」へのリニューアルに伴い、「ボンベルタ」の屋号は歴史の幕を閉じました。これにより、イオングループは長年展開してきた百貨店事業から撤退することになりました。

運営会社

「ボンベルタ」各店舗の運営会社は、それぞれ独立した法人でした。主な運営会社には以下のものがあります。

株式会社ボンベルタ: 「ボンベルタ成田」を運営。2024年2月末の閉店後、イオンリテールに吸収合併され、消滅。
株式会社ボンベルタ上尾: 「ボンベルタ上尾」を運営。1992年8月に閉店。
株式会社ボンベルタ伊勢甚: 「ボンベルタ伊勢甚」の屋号で、茨城県に3店舗（水戸店、日立店、勝田店）を展開。全店閉店後、2006年5月に法人解散。
株式会社橘百貨店: 宮崎県宮崎市で「ボンベルタ橘」を運営。延岡市にも店舗を展開していましたが、2007年11月にイオングループから離脱。その後ドン・キホーテグループ傘下となり、現在は「MEGAドン・キホーテ宮崎橘通店」として営業しています。

各店舗の歩み

ボンベルタ上尾（埼玉県上尾市、1983年9月23日開店 - 1992年8月閉店）
ブランドの1号店。アリコベール（ショッピングセンター）のデパート館の核店舗でした。跡地には丸広百貨店上尾店が入居しています。

ボンベルタ成田（千葉県成田市、1992年3月19日開店 - 2024年2月29日閉店）
「ボンベルタ」ブランドとして最後まで営業を続けた店舗。2024年7月19日には「そよら成田ニュータウン」としてリニューアルオープンしました。

ボンベルタ伊勢甚 水戸店（茨城県水戸市、1957年開店 - 2003年2月20日閉店）
1724年創業の呉服屋「伊勢屋」を起源とする老舗百貨店。1977年にジャスコグループ傘下となり、「ボンベルタ伊勢甚」となりました。店舗跡地は、京成百貨店が新築移転しています。

ボンベルタ伊勢甚 勝田店（茨城県勝田市、1983年開店 - 2010年2月20日閉店）
1994年にジャスコへ譲渡され、総合スーパーへと業態転換しましたが、2010年に閉店。

ボンベルタ伊勢甚 日立店（茨城県日立市、1985年6月開店 - 2005年5月20日閉店）
店舗跡地は、その後「さくらシティ日立」として営業しましたが、閉鎖。現在はカスミ日立神峰店が建っています。

ボンベルタ橘（宮崎県宮崎市、1988年5月25日開店）
橘グループの百貨店を起源とし、ジャスコとの提携を経て「ボンベルタ橘」として再開業。2007年にイオングループから離脱し、現在は「MEGAドン・キホーテ宮崎橘通店」として営業しています。

ボンベルタ延岡ニューシティー（宮崎県延岡市、1996年4月24日開店 - 1998年8月20日閉店）
延岡ニューシティーショッピングセンター（現・イオン延岡ショッピングセンター）内に所在。赤字続きのため、2年で閉店となりました。

マスコットキャラクター

ボンタとベル（犬のキャラクター）

「ボンベルタ」は、そのブランド名にふさわしい、洗練された雰囲気と歴史を刻みました。しかし、時代の変化に適応できず、その歴史に幕を閉じました。その跡地には、新たな商業施設が誕生し、人々の生活を支えています。

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