ボーグ級航空母艦

ボーグ級航空母艦：第二次世界大戦を支えた護衛空母

ボーグ級航空母艦は、第二次世界大戦中にアメリカ海軍で大量建造された護衛空母です。その特徴は、C3型貨物船の船体を流用して建造された点にあります。これにより、短期間での大量生産が可能となり、連合国軍の戦力増強に大きく貢献しました。

開発の背景

1940年、アメリカはまだ参戦していませんでしたが、レンドリース法を成立させ、ドイツ海軍の潜水艦に苦しむイギリスにチャージャー級航空母艦を貸与しました。イギリスはこの貸与艦をアヴェンジャー級として実戦投入しましたが、その数はわずか3隻であり、対潜水艦作戦を遂行するには十分な戦力とは言えませんでした。

そこでアメリカは、自国で使用する護衛空母の建造を計画しました。チャージャー級は完成済みの貨物船を改造したものでしたが、ボーグ級では建造途中のC3型貨物船の船体を活用することで、より空母としての機能を充実させることが可能になりました。具体的には、航空機の格納庫やエレベーターの追加など、空母としての運用に必要な設備が強化されました。

1941年のアメリカ参戦後、1942年からボーグ級は続々と竣工し、アメリカ海軍での運用が開始されました。また、建造された45隻のうち34隻は、アタッカー級としてイギリス海軍に貸与され、連合国軍の戦力として大戦を戦い抜きました。

活躍と戦歴

排水量1万トンと小型の空母ではありましたが、ボーグ級は、大西洋、地中海、インド洋、そして太平洋といった世界中の海域で船団護衛任務に従事しました。ドイツ海軍のUボートだけでなく、日本海軍の潜水艦も撃沈するなど、対潜作戦で大きな戦果を上げました。さらに、上陸作戦の支援にも投入され、その活躍は多岐に渡りました。

ボーグ級の中で、唯一損失した艦は、ドイツ海軍潜水艦の雷撃で撃沈されたブロック・アイランド (USS Block Island, AVG-21/ACV-21/CVE-21) のみでした。この事実は、ボーグ級の優れた設計と運用能力を示していると言えるでしょう。

ボーグ級と同型艦

アメリカ海軍で運用されたボーグ級の主な同型艦には、以下のものがあります。

ボーグ (USS Bogue, AVG-9/ACV-9/CVE-9/CVHE-9)
カード (USS Card, AVG-11/ACV-11/CVE-11/CVHE-11/T-CVU-11/T-AKV-40)
コパヒー (USS Copahee, AVG-12/ACV-12/CVE-12/CVHE-12)
コア (USS Core, AVG-13/ACV-13/CVE-13/CVHE-13/T-CVU-13/T-AKV-41)
ナッソー (USS Nassau, AVG-16/ACV-16/CVE-16/CVHE-16)
オルタマハ (USS Altamaha, AVG-18/ACV-18/CVE-18/CVHE-18)
バーンズ (USS Barnes, AVG-20/ACV-20/CVE-20/CVHE-20)
ブロック・アイランド[I] (USS Block Island, AVG-21/ACV-21/CVE-21)
ブレトン (USS Breton, AVG-23/ACV-23/CVE-23/CVHE-23/T-CVU-23/T-AKV-42)
クロアタン (USS Croatan, AVG-25/ACV-25/CVE-25/CVHE-25/T-CVU-25/T-AKV-43)
プリンス・ウィリアム (USS Prince William, AVG-31/ACV-31/CVE-31/CVHE-31)

レンドリースされたアタッカー級

ボーグ級として建造された艦艇のうち、イギリス海軍に貸与された艦艇は、アタッカー級として運用されました。以下にその主なものを示します。

トラッカー（HMS Tracker, BAVG-6 → D24)
バトラー (HMS Battler, USS Altamaha, AVG-6/ACV-6/CVE-6 から改名)
アタッカー (HMS Attacker, USS Barnes, AVG-7/ACV-7/CVE-7から改名)
ハンター (HMS Hunter, USS Block Island, AVG-8/ACV-8/CVE-8から改名)
チェイサー (HMS Chaser, USS Breton, AVG-10/ACV-10/CVE-10から改名)
フェンサー (HMS Fencer, USS Croatan, AVG-14/ACV-14/CVE-14から改名)
ストーカー (HMS Stalker, USS Hamlin, AVG-15/ACV-15/CVE-15から改名)
パーシュアー (HMS Pursuer, USS St. George, AVG-17/ACV-17/CVE-17から改名)
ストライカー (HMS Striker, USS Prince William, AVG-19/ACV-19/CVE-19から改名)
サーチャー (HMS Searcher, (CVE-22)（未命名)から改名)
レバイジャー (HMS Ravager, (CVE-24)（未命名)から改名)
スリンガー (HMS Slinger, USS Chatham, AVG-32/ACV-32/CVE-32から改名)
アスリング (HMS Atheling, USS Glacier, AVG-33/ACV-33/CVE-33から改名)
エンペラー (HMS Emperor, USS Pybus, AVG-34/ACV-34/CVE-34から改名)
アミール (HMS Ameer, USS Baffins, AVG-35/ACV-35/CVE-35から改名)
ベガム (HMS Begum, USS Bolinas, AVG-36/ACV-36/CVE-36から改名)
トランペッター (HMS Trumpeter, USS Bastian, AVG-37/ACV-37/CVE-37から改名)
エンプレス (HMS Empress, USS Carnegie, AVG-38/ACV-38/CVE-38から改名)
ケディーヴ (HMS Khedive, USS Cordova, AVG-39/ACV-39/CVE-39から改名)
スピーカー (HMS Speaker, USS Delgada, AVG-40/ACV-40/CVE-40から改名)
ネイボブ (HMS Nabob, USS Edisto, AVG-41/ACV-41/CVE-41から改名)
プレミア (HMS Premier, USS Estero, AVG-42/ACV-42/CVE-42から改名)
シャー (HMS Shah, USS Jamaica, AVG-43/ACV-43/CVE-43から改名)
パトローラー (HMS Patroller, USS Keweenaw, AVG-44/ACV-44/CVE-44から改名)
ラージャ (HMS Rajah, USS Prince, AVG-45/ACV-45/CVE-45から改名)
ラーニー (HMS Ranee, USS Niantic, AVG-46/ACV-46/CVE-46から改名)
トゥランサー (HMS Trouncer, USS Perdido, AVG-47/ACV-47/CVE-47から改名)
セイン (HMS Thane, USS Sunset, AVG-48/ACV-48/CVE-48から改名)
クイーン (HMS Queen, USS St. Andrews, AVG-49/ACV-49/CVE-49から改名)
ルーラー (HMS Ruler, USS St. Joseph, AVG-50/ACV-50/CVE-50から改名)
アービター (HMS Arbiter, USS St. Simon, AVG-51/ACV-51/CVE-51から改名)
スマイター (HMS Smiter, USS Vermillion, AVG-52/ACV-52/CVE-52から改名)
パンチャー (HMS Puncher, USS Willapa, AVG-53/ACV-53/CVE-53から改名)
リーパー (HMS Reaper, USS Winjah, AVG-54/ACV-54/CVE-54から改名)

まとめ

ボーグ級航空母艦は、第二次世界大戦において、連合国軍の勝利に大きく貢献した重要な艦級です。その大量生産能力と、多様な任務に対応できる柔軟性は、戦局を大きく左右しました。護衛空母という地味な存在ではありましたが、その活躍は歴史に深く刻まれています。

外部リンク

UBoat.NET
Aircraft carriers of the Royal Navy

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