貸与艦

貸与艦とは

貸与艦とは、ある国が別の国に対して、一定期間の経過後に返却されることを前提として貸し出す軍艦のことです。これは、海軍力の緊急的な増強や、国際的な軍事協力の一環として行われることがあります。

歴史的背景

貸与艦の制度は、過去の戦争や国際関係の中で重要な役割を果たしてきました。以下に具体的な例を挙げます。

第一次世界大戦: 日本海軍が地中海に部隊を派遣した際、イギリスからH級駆逐艦が貸与され、日本海軍はこれを橄欖型駆逐艦として運用しました。これは、同盟国間の協力関係を示す一例です。
第二次世界大戦後: 日本が海軍兵力を再建するにあたり、アメリカからタコマ級フリゲートなどの艦艇が貸与されました。この貸与艦を運用するために海上保安庁内に海上警備隊が設置され、後に保安庁警備隊として独立、現在の海上自衛隊へと発展しました。つまり、貸与艦が日本の海上防衛体制の基礎を築いたと言えます。

貸与後の展開

アメリカから日本に貸与された艦艇の多くは、後に供与という形で日本に譲渡されました。しかし、一部の艦艇はアメリカに返却された後、中華民国、フィリピン、南ベトナムといった国々に再び貸与されるという経緯を辿りました。これは、アメリカが同盟国への軍事支援を多角的に展開していたことを示しています。

現代における意義

現代においては、貸与艦の制度は、軍事的な協力関係を強化し、国際的な安全保障に貢献する手段として、引き続き重要な意味を持っています。艦艇の貸与は、技術的な支援やノウハウの移転を伴う場合もあり、受領国の海軍力の発展に寄与することが期待されます。

参考文献

香田, 洋二「国産護衛艦建造の歩み」『世界の艦船』第827号、海人社、2015年12月、NAID 40020655404。

関連項目

レンドリース
* 日米艦艇貸与協定

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