ボーダーライン (2015年の映画)

ボーダーライン (Sicario)

『ボーダーライン』は、2015年に公開されたアメリカ合衆国のアクションサスペンス映画で、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務め、エミリー・ブラントが主演します。原題の「Sicario」はスペイン語で「殺し屋」を意味し、物語はメキシコとアメリカの国境を舞台に、麻薬戦争における捜査官たちの過酷な現実を描き出します。

あらすじ

物語はアリゾナ州チャンドラーでの凄惨な誘拐事件から始まります。FBI捜査官ケイト・メイサーは、犯人宅に行う奇襲捜査中、恐ろしい発見をします。まさにその瞬間、裏庭の物置に設置された爆弾が爆発し、ケイトの仲間が命を落とします。ショックを受けたケイトは、上司の推薦によって麻薬カルテルの捜査チームに加わることに決めます。

国防総省のマット・グレイヴァーに率いられたチームに参加し、ケイトはメキシコのシウダー・フアレス市へと赴くことになります。そこで彼女は、マットの謎めいたコロンビア人パートナー、アレハンドロ・ギリックと出会います。彼らはデルタフォースとともに、誘拐事件の背後にいる麻薬カルテルの親玉であるマニュエル・ディアスを追い詰めるため、危険な行動を開始します。

捜査が進む中、ケイトは非合法な手段が実行されていくことに疑念を抱き始めます。特に、アレハンドロが水を使った拷問でギレルモから情報を引き出す場面では、その冷酷さに驚愕します。やがて彼女は、ダークな真実が明らかになるにつれ、自身も囮として利用されていることに気づきます。

最終的に、アレハンドロは個人的な復讐のため、妻と娘を殺した麻薬王ファウスト・アラルコンに迫ります。アレハンドロの過去や動機が徐々に明らかになる中、彼の行動は尋常ではなくなり、明らかな暴力と混乱の中で物語は展開します。

登場人物

物語に登場する主要キャストには、エミリー・ブラント（ケイト・メイサー）、ベニチオ・デル・トロ（アレハンドロ・ギリック）、ジョシュ・ブローリン（マット・グレイヴァー）などがいます。彼らはそれぞれに複雑なバックグラウンドを持ち、映画のストーリーに多層的な深みを与えます。

評価と影響

本作は、2015年5月にカンヌ映画祭に出品され、批評家から圧倒的な支持を受けました。Rotten Tomatoesでは92%の支持率を獲得し、Metacriticでも高い評価を得ています。この映画は、ただのアクション映画にとどまらず、麻薬戦争の現実や法と倫理の境界についての問いかけを含め、多くの観客に深い印象を残しました。

公開前には、シウダー・フアレス市の市長がボイコットを呼びかける騒動もありましたが、作品自体はその暴力描写が現状を映し出しているとして、とりわけ注目されました。

『ボーダーライン』は、アクション映画であると同時に、現代社会における深刻な問題を考えさせる作品として、多くの人々に影響を与える映画となりました。

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