ボーディ王子経

ボーディ王子経の解説

ボーディ王子経（ボーディおうじきょう）は、パーリ語の経典で、その内容は釈迦がボーディ王子に対して自身の修行経験や仏法の教えを説くものです。この経典はパーリ仏典経蔵の中部に収録されており、また『菩提王子経』とも呼ばれています。

構成と登場人物

主要な登場人物には、釈迦とボーディ王子、そして王子の使用人サンジカープッタがいます。ボーディ王子はヴァンサ国の王子で、ウデーナ王の息子です。物語は、釈迦がバッガ国のスンスマーラギラに位置する鹿苑で滞在している場面から始まります。

釈迦は使用人サンジカープッタを通してボーディ王子から食事の供養を申し出られ、その申し出を受け入れます。翌朝、釈迦は王子の家で食事を共にし、そこで王子から「苦(dukka)と楽(sukha)の関係」について質問を受けます。

修行体験の共有

この問いに対して、釈迦は自身の修行時代の経験を語り始めます。彼はアーラーラ・カーラーマやウッダカ・ラーマプッタに師事し、その教えには満足できずにウルヴェーラのセーナー村で苦行生活を送ります。ここでは、体を痛めつけることや無呼吸の禅定、さらには完全な断食など、さまざまな厳しい修行を試みるものの、菩提を得られないことに気づきます。

その結果、釈迦は苦行を放棄し、正念（sati）が菩提への道であると認識しました。この重大な転機は、彼の修行に新たな視点をもたらし、真の悟りを得るための重要な一歩となります。

苦行放棄の影響

苦行を放棄した釈迦を見た五比丘たちは、彼が堕落したとみなして去っていきますが、これは他者の評価に惑わされず自らの道を貫くことの大切さを示しています。

ボーディ王子への影響

釈迦の教えを聞いたボーディ王子は、その内容に感銘を受けます。彼は、釈迦の教えに従い三宝（仏、法、僧）への帰依を誓うことになります。ボーディ王子経は、修行を通じて得た智慧とそれによる変容の過程を示す、深いメッセージを持っているのです。

参考文献

この経典は、さまざまな形で翻訳されています。たとえば、『南伝大蔵経・経蔵・中部経典3』や『パーリ仏典 中部（マッジマニカーヤ）中分五十経篇II』、そして『原始仏典 中部経典3』などがその例です。

ボーディ王子経は、仏教の教えの根幹を理解するための重要な文献となっており、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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