五比丘

五比丘とは、釈迦が成道（悟りを開くこと）した後に、最初に弟子となった5人の修行者のことです。彼らは仏教における最初の僧伽（僧団）を形成しました。

彼らは元々、釈迦の父である浄飯王の命によって、出家した釈迦の身辺警護のために苦行林に同行しました。彼らは共にウッダカ・ラーマプッタ仙人の下でバラモン修行を行っていましたが、その教えに満足できず、更なる修行を求めて旅立った釈迦に同調し、教団を離れました。

釈迦は6年間の苦行の後、「苦行は悟りを得る真実の道ではない」と悟り、苦行林を去りました。その後、スジャーターから乳粥の供養を受けた釈迦は、鹿野苑（ろくやおん）へと向かいました。

鹿野苑で釈迦は悟りを開き、五比丘に対して初めて法を説きました。当初、五比丘は苦行を捨てた釈迦を軽蔑し、歓迎を拒否しようとしました。しかし、釈迦が近づくにつれて、その堂々とした姿に畏敬の念を抱き、自然に立ち上がって迎え入れたと言われています。

釈迦は、自らが阿羅漢であり、正等覚者（仏陀）であることを宣言し、教えを拒む五比丘を説得して最初の説法を行いました。その結果、阿若・憍陳如（あにゃ・きょうちんにょ）をはじめとして、次々とその教えを理解し、預流果（よるか）を得ました。五比丘が仏教に帰依し、布教活動を行ったことで、初期仏教教団は重要な役割を果たすことになりました。

この出来事は「初転法輪（しょてんぽうりん）」と呼ばれ、仏教における重要な転換点とされています。また、釈尊の人生における4つの重要な出来事の一つにも数えられています。

五比丘の名前は以下の通りです。

阿若・憍陳如（あにゃ・きょうちんにょ、アジュニャータ・カウンディンニャ）
阿説示（あせつじ、アッサジ）
摩訶摩男（まかまなん、マハーナーマン）
婆提梨迦（ばつだいりか、バドリカ、バッディヤ）
婆敷（ばしふ、ヴァシュフ、ワッパ）

彼らの帰依は、仏教の歴史において非常に重要な出来事であり、その後の仏教の発展に大きく貢献しました。

関連事項として、以下のものも参照してください。

釈迦仏
* 初転法輪

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