ボーフム・シュタットバーン

ボーフム・シュタットバーン U35号線

ドイツのノルトライン＝ヴェストファーレン州に位置する都市、ボーフムとヘルネを結ぶ地下鉄（シュタットバーン）路線が、ボーフム・シュタットバーンU35号線です。この路線は、同州の公共交通事業者であるBOGESTRAによって運営されていますが、他の鉄道路線や路面電車系統とは接続せず、独立した運用体系を持つことが大きな特徴です。

歴史的背景と建設

1960年代後半、ドイツの多くの都市では、既存の路面電車網を近代化し、地下化や専用軌道化、高架化によって高速鉄道へと発展させる「シュタットバーン」構想が推進されました。BOGESTRAも例外ではなく、ボーフムを中心とした都市部の路面電車を地下化し、将来的には従来の1,000 mm軌間（狭軌）の路線網を、1,435 mm軌間（標準軌）の地下鉄ネットワークへ転換する大規模な計画を策定しました。

1970年代に入ると、ボーフムや隣接するゲルゼンキルヒェンで路面電車の地下化工事が本格化。これと並行して、標準軌のシュタットバーン路線建設も進められました。ボーフムとヘルネを結ぶトンネルは、1985年6月に全線が開通。その後、1989年9月2日に、ヘルネ側のシュトレンケ城駅（Schloß Strünkede）からボーフム中央駅（Bochum Hauptbahnhof）までの最初の区間が営業を開始しました。続いて、1993年11月27日にはボーフム中央駅からハシュタット駅（Hustadt）まで延伸され、全長14.7キロメートルの路線が全通しました。

当初の計画には、ゲルゼンキルヒェンやウィッテン方面へのさらなる延伸が含まれていましたが、高額な建設費用をはじめとする様々な困難から、それ以降の建設は実現しませんでした。この結果、2020年現在において、U35号線はBOGESTRAが運営する他の軌道交通網から切り離された、単一の独立系統として運行されています。

路線と駅の特徴

U35号線は、ヘルネ市のシュトレンケ城駅を起点とし、ドイツ鉄道やボーフム市内の路面電車と接続するボーフム中央駅を経由し、ボーフム市南部のルール大学ボーフム近郊のハシュタット駅に至る、全長14.7キロメートルの標準軌（1,435 mm）路線です。このうち、シュトレンケ城駅からヴァルドリング駅（Waldring）までの約10.5キロメートルは地下トンネル区間となっています。全区間の所要時間は約28分です。

駅のプラットホームは全て高床式で、大部分の駅においてエレベーターやエスカレーターなどのバリアフリー設備が整備されています。しかし、ベルニングハウスシュトラーセ駅（Berninghausstraße）のみは、2020年時点ではまだバリアフリー化が完了していませんでした。

沿線には、主要な交通結節点であるボーフム中央駅のほか、ルール大学ボーフム、ボーフム大学、ゲオルク・アグリーコラ工科大学など、多数の高等教育機関が集積しています。これらの大学へのアクセス利便性をさらに強調するため、ボーフム市やヘルネ市の自治体からの要請を受け、2011年6月12日のダイヤ改正以降、U35号線には「キャンパスリンネ（CampusLinie）」という愛称が付けられています。

増加する利用客

U35号線の利用客数は、開業以来一貫して増加傾向にあります。開業年である1989年の1日あたりの利用客数が約2万2千人であったのに対し、1999年には約5万5千人、2011年には約8万4千人と着実に増加。開業30周年を迎えた2019年には、1日約9万4千人の利用客を記録しました。この数字は、BOGESTRAが運営する公共交通機関の中で最も多いだけでなく、ドイツ国内の多くのシュタットバーン路線と比較しても特筆すべき高い水準を示しています。

使用車両

2019年現在、U35号線では主に以下の2種類の連接式電車が運行されています。輸送力を確保するため、全列車が2両編成で運用されています。

B80D
U35号線の開業に合わせてドイツの車両メーカー、デュワグで製造された2車体連接車です。「80D」は最高速度80 km/hとVVVFインバータ制御（Drehstromantrieb）を表しています。開業時の1988年から1989年にかけて13両（6001-6013）が導入され、1993年の延伸時には12両（6014-6025）が増備されました。2021年以降、内装や運転台、主要機器（主電動機、制御装置など）を含む大規模な改修工事がシュタッドラー・レールによって計画されており、外観の塗装も更新される予定です。

タンゴ（Tango）
スイスの車両メーカー、シュタッドラー・レールが展開する路面電車や地下鉄、シュタットバーン向け車両ブランドです。U35号線向けに導入されたのは、路線条件に合わせた高床式の両運転台3車体連接車です。列車本数の増加に対応するため、2007年から営業運転を開始した6両（6026-6031）に加え、2019年にはさらに6両が追加発注され、これらは2021年からの導入が予定されています。この車両はデザイン性の高さも評価されており、2006年にiFデザイン賞を受賞しています。

U35号線は、ボーフムとヘルネ間の重要な交通軸として、地域住民や沿線の学生にとって欠かせない存在となっています。

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