ポケットデジモンワールド

『ポケットデジモンワールド』は、バンダイよりリリースされた「デジタルモンスター」シリーズの一作であり、特に携帯型液晶ゲーム機PocketStationに特化した育成RPGとして展開されました。「デジモンワールド」シリーズの流れを汲む作品です。

ゲームの特色

本作の最大の特徴は、ゲームプレイの根幹となるデジモンの育成、戦闘、冒険をPocketStation単体で行える点にあります。これにより、場所を選ばずに手軽にデジモンとの生活や冒険を楽しむことが可能でした。一方で、デジモンの進化処理や、冒険中に手に入れたコレクションアイテムの閲覧、本格的な対戦モードである「D-1グランプリ」といった一部の機能を利用するには、PlayStation本体を起動し、本編ディスクを読み込む必要がありました。携帯機と据え置き機を連携させる、当時としては珍しいスタイルを採用しています。

また、本作は当時のデジモン作品で展開されていた「Dリンク」機能に対応していました。これにより、本作で育てたデジモンを、『デジモンワールド2』などの他の対応ゲームで使用したり、周辺機器「ワンダーウェーブ」を介してワンダースワンやデジヴァイスといったデジモン関連玩具とデータを交換したりすることが可能で、プレイヤーが育てたデジモンを様々な形で活用できる拡張性を持っていました。

世界観と物語

ゲームの世界観や設定は、PlayStation向けに発売された初代『デジモンワールド』を基盤としており、その後の物語、すなわち後日談的な内容が描かれています。物語の舞台は、デジモンワールドに浮かぶ「ファイル島」。島の中心にある「はじまりの街」では、デジモンたちの手によってデジモンワールドの歴史や知識を集めた「デジモンミュージアム」が建設されていました。しかし、あるとき黒い霧と共に現れた謎のデジモンによってミュージアムが襲撃され、中に保管されていた貴重な展示品が全て奪われてしまいます。街の長老であるジジモンは、この非常事態に対処するため、異世界からプレイヤーである主人公を召喚。主人公は、デジモンと共にファイル島を冒険し、奪われた展示品を取り戻し、謎のデジモンの正体を追う使命を託されます。

システム詳細

育成: PocketStationの画面上で、デジモンの世話やトレーニングを行います。デジモンに話しかけたり、トレーニングの指示を出したりして、能力を高めていきます。育成が進み、特定の条件を満たすと進化が可能になりますが、進化の演出や処理はPlayStation本体で行われます。
冒険: ストーリーはファイル島の各地を探索することで進行します。奪われたアイテムの行方や、謎のデジモンの調査が主な目的です。探索中には敵デジモンとのバトルが発生し、勝利することで新たなエリアに進めたり、冒険に役立つアイテムを獲得したりできます。なお、バトルはプレイヤーの操作なしで自動的に進行します。
PlayStation連携: 冒険で入手した「フィルム」や「記憶の欠片」などのアイテムは、PlayStation本体でゲームを起動すると「デジモンミュージアム」で閲覧できます。フィルムはCGムービー、記憶の欠片はデジモンワールドの歴史などに関連する情報です。「D-1グランプリ」では、PSのグラフィックによる迫力あるデジモンバトルが楽しめ、Dリンクを使えば他作品のデジモンとの対戦も可能です。

シリーズ作品

『ポケットデジモンワールド』は、基本的なゲーム内容は共通しつつも、育成できるデジモンの種類や入手アイテムなどが異なる3つのバージョンが発売されました。

ポケットデジモンワールド (ファイヤーバトルディスク): 2000年6月29日発売。主にグレイモンやバードラモンなど、火炎属性やそれに類するデジモンが多く登場するシリーズ第一弾です。
ポケットデジモンワールドウィンドバトルディスク: 2000年10月26日発売。エンジェモンやエアドラモンなど、大気属性や風に関係するデジモンが中心です。
ポケットデジモンワールドクールアンドネイチャーバトルディスク: 2001年2月22日発売。ガルルモンやシードラモンといった氷水属性と、カブテリモンやパルモンなどの自然属性のデジモンを育成できます。シリーズ最終作にあたり、ストーリーの一部にも変更が加えられています。

また、本作と同様にPocketStation上でデジモンを育成するゲームとしては、後に『デジモンテイマーズポケットクルモン』が2001年5月17日に発売されています。これらのタイトルは、PocketStationというプラットフォームを活かしたデジモンゲームのユニークな展開と言えるでしょう。

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