ポピュラス

ポピュラスシリーズ：神々の戦いと創造の物語

1989年、イギリスのブルフロッグ社によって開発され、エレクトロニック・アーツ社より発売された『ポピュラス』(Populous)は、ゲーム史に新たなジャンルを開拓した記念碑的作品です。デザイナーは、後のゲーム業界の巨匠となるピーター・モリニュー氏。Amiga、Atari ST、IBM PCといった当時のパソコンで発売された本作は、その後、様々なプラットフォームに移植され、世界中で人気を博しました。

ゲームシステム：神々の間接的な介入

プレイヤーは神となり、自らの信奉者である民族を繁栄させることを目指します。しかし、直接的に民族を操作することはできません。代わりに、地震や火山噴火、洪水といった奇跡を起こしたり、地形を変化させることで、信者の居住地を確保し、敵対する神々の信者を妨害します。信者の繁栄度に応じて溜まる「マナ」は、より強力な奇跡を起こすためのエネルギー源となります。

特に特徴的なのは「騎士」という奇跡です。これは信者の一人を強力な戦士へと変貌させ、敵と戦い続けるというものです。建築などはできなくなりますが、その戦闘能力は圧倒的です。また、最終手段として「ハルマゲドン」が存在します。これは、両陣営の信者が一人の騎士となって決戦を行うという、まさに神々の最終決戦と言えるシステムです。

多彩な世界観と拡張：プロミストランド

拡張パックである「プロミストランド」では、基本ゲームの平原、雪原、砂漠、溶岩地帯に加え、様々なテーマの世界が追加されました。AMIGA版では、フランス革命、西部劇、レゴブロック風の世界、異形の宇宙人の世界、そしてコンピュータの世界といった個性豊かな世界が用意され、プレイヤーを飽きさせません。さらに、イマジニアが移植した日本版では、江戸時代を舞台にした世界も追加されています。

各プラットフォームでの展開

『ポピュラス』は、PC版以外にも、スーパーファミコン、PCエンジン、メガドライブなど様々な家庭用ゲーム機に移植されました。移植版はそれぞれ独自の要素を追加しており、例えばスーパーファミコン版には「三匹のこぶた編」や「ケーキランド編」といった追加シナリオが収録されていました。メガドライブ版は、快適な操作性と斬新なゲーム性が高く評価されている一方、奥成洋輔氏(セガ)は、ゲームの初見時の分かりにくさや複雑なパスワード管理を指摘しています。2022年にはメガドライブミニ2に収録され、新たな世代のゲーマーにもプレイできるようになりました。

開発秘話：ピーター・モリニューと波乱万丈の物語

開発者のピーター・モリニュー氏は、『Virus』のAmiga移植版をヒントに本作を開発しました。当初はキャラクターのAIに問題を抱えていたものの、その問題が地形操作という本作の重要な要素へと繋がりました。AIが平地に家を建て、土地が広がるにつれて家が豪華になり、人口増加率が上がるというルールも、ゲームの個性に大きく貢献しています。

しかし、モリニュー氏はエレクトロニック・アーツ社との契約で、不利な条件を呑まざるを得なくなり、発売後も経済的に苦しい時期を過ごしたと言われています。エンディングの欠落など、開発には様々な苦労があったようです。

日本での人気と独自の遊び方

『ポピュラス』は日本でも大ヒットし、全国大会が開催されるほどの盛況ぶりを見せました。日本独自のプレイスタイルとして、土地の隆起による相手の妨害が有名です。テクニカルジャーナリストの西川善司氏もこの戦略を用いて、ピーター・モリニュー氏を窮地に陥れたという逸話が残っています。

続編：ポピュラスII、ポピュラス ザ・ビギニング、ポピュラスDS

1991年には続編『ポピュラスII: Trials of the Olympian Gods』が発売されました。ギリシャ神話をモチーフとし、プレイヤーは半神となって他の神々と戦います。奇跡の種類が増え、それぞれの能力強化も可能になりました。

その後も『ポピュラス ザ・ビギニング』やニンテンドーDS用ソフト『ポピュラスDS』が発売され、シリーズは進化を続けました。これらの続編では、前作のゲームシステムを継承しつつ、新たな要素が追加され、多くのプレイヤーを魅了し続けています。

『ポピュラス』シリーズは、その革新的なゲーム性と奥深い戦略性、そして個性豊かな世界観で、ゲーム史に大きな足跡を残したと言えるでしょう。

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