ポリュビオス

ポリュビオス（紀元前204年？ - 紀元前125年？）は、古代ギリシアのメガロポリス出身の歴史家です。第三次マケドニア戦争後のピュドナの戦いで、人質としてローマに送られました。しかし、そこでスキピオ・アエミリアヌスの庇護を受け、その後の人生を大きく変えることになります。

『歴史』

ポリュビオスの代表作である『歴史』は、ローマの歴史を中心に扱っており、特に第一次ポエニ戦争から紀元前146年までを詳細に記述しています。この著作は、当時の状況を知る上で非常に重要な一次史料とされています。特に、ポエニ戦争に関する記述は、他の史料と比較しても詳細かつ正確であり、この時代の歴史研究には欠かせないものです。

また、『歴史』の中でポリュビオスは、「政体循環論」という独自の政治理論を展開しました。これは、政体が君主制、貴族制、民主制という順番で発展し、やがてそれぞれの堕落形態である専制政治、寡頭政治、衆愚政治に移行するという考え方です。この政体循環論は、政治思想史においても重要な概念として認識されています。

その他の著作

ポリュビオスは、『歴史』以外にもいくつかの著作を残しましたが、残念ながらそれらは全て散逸しており、内容を知ることはできません。

『ピロポイメン』
『戦術論』
『赤道地域の居住性について』
『ヌマンティア戦争』

これらの著作がどのような内容であったかを知ることはできませんが、彼の幅広い関心や知識の一端をうかがい知ることができます。

日本語訳

『歴史』は日本語にも翻訳されており、以下のものが存在します。

『世界史』（全三巻）

『世界史I』（竹島俊之訳、龍渓書舎、2004年）…第1巻～第6巻
『世界史II』（竹島俊之訳、龍渓書舎、2007年）…第7巻～第18巻
『世界史III』（竹島俊之訳、龍渓書舎、2007年）…第19巻～第39巻

『歴史』（全四巻）

『歴史1』（城江良和訳、京都大学学術出版会、2004年）…第1巻～第3巻
『歴史2』（城江良和訳、京都大学学術出版会、2007年）…第4巻～第8巻
『歴史3』（城江良和訳、京都大学学術出版会、2011年）…第9巻～第21巻
『歴史4』（城江良和訳、京都大学学術出版会、2013年）…第22巻～第39巻

これらの翻訳によって、日本語を母語とする人々もポリュビオスの著作に触れることができるようになりました。特に、城江良和訳の『歴史』は、詳細な注釈や解説が加えられており、より深く理解するための助けとなっています。

関連項目

ポリビアス_(都市伝説)

ポリュビオスは、歴史家としての側面だけでなく、政治思想家としても重要な人物です。彼の著作は、古代史研究のみならず、現代の政治や社会を考える上でも多くの示唆を与えてくれます。

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