ヌマンティア戦争

ヌマンティア戦争

ヌマンティア戦争は、紀元前153年から紀元前133年の間、ヒスパニア内陸部のケルティベリア人が共和政ローマに対して行った抵抗戦争です。この戦争は、ケルティベリア人の最後の砦であったヌマンティアをローマが破壊し、その支配を確立することで終結しました。第二次ケルティベリア戦争とも呼ばれています。

戦争の背景

ケルティベリア人は、ローマによって都市に城壁を築くことを禁じられていました。しかし、セゲダという都市が力を増し、周辺の町を圧迫し始めたため、城壁の建設を開始しました。ローマは以前の条約を根拠にこれを阻止しようとしましたが、セゲダは新しい都市の建設は禁じられているものの、既存の都市の城壁は対象外であると主張しました。この対立が、ローマとケルティベリア人の間の緊張を高め、最終的に戦争へと発展しました。

戦争の経過

序盤の戦い（紀元前153年 - 紀元前151年）

紀元前153年、ローマはクィントゥス・フルウィウス・ノビリオルの指揮下で大軍をヒスパニアに派遣しました。セゲダはアレワキ人と同盟を結び抵抗しましたが、ローマ軍に敗北。その後も、マルクス・クラウディウス・マルケッルスやルキウス・リキニウス・ルクッルスといった将軍が指揮を執り、ケルティベリア人の都市を攻撃しました。特にルクッルスのカウカでの虐殺は、ローマの不誠実さを示す出来事として記録されています。

中盤の膠着状態（紀元前143年 - 紀元前135年）

クィントゥス・カエキリウス・メテッルス・マケドニクスがローマ軍を率いてケルティベリアに侵入し、アレワキ人はローマに従属しました。しかし、ヌマンティアとテルマンティアは抵抗を続けました。ポンペイウスやマルクス・ポピッリウス・ラエナスといった将軍がヌマンティアを攻撃しましたが、決定的な勝利を得ることはできませんでした。ガイウス・ホスティリウス・マンキヌスはヌマンティアとの和約を結びましたが、ローマ元老院によって否認されました。

スキピオによる終結（紀元前134年 - 紀元前133年）

紀元前134年、スキピオ・アエミリアヌスが指揮官としてヒスパニアに到着しました。彼は軍隊を再編・訓練し、ヌマンティアを徹底的に包囲しました。ヌマンティア人は飢餓に苦しみながらも抵抗を続けましたが、最終的には降伏を余儀なくされました。スキピオはヌマンティアを破壊し、住民を奴隷として売り払い、ここに20年にわたるヌマンティア戦争は終結しました。

戦争の性格

ヌマンティア戦争は、ローマの侵略とケルティベリア人の抵抗という構図が繰り返された戦争でした。ローマには明確な戦争目的があったとは言えず、現地の司令官やローマの世論の欲望が主な動機であったと考えられています。ローマは度々敗北を喫しましたが、戦争の長期化によって疲弊したのはケルティベリアであり、ローマの損害は相対的に小さく、ヌマンティアの破壊は、戦争の終結を世論に納得させるためのものであったとも考えられます。

参考文献

アッピアノス『ローマ史』「イベリカ」
プルタルコス『対比列伝』（英雄伝）

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