ポルトガルの植民地戦争

ポルトガルの植民地戦争

ポルトガルの植民地戦争（Guerra Colonial）は、1961年から1974年にかけて、ポルトガル政府軍とそのアフリカ植民地の独立を求める勢力が繰り広げた紛争であり、特にアンゴラ、モザンビーク、ギニアビサウにおいて活発でした。この戦争は、旧植民地における解放戦争とも称され、国際的な政治情勢の中で重要な位置を占めました。

背景と動機

第二次世界大戦後、世界各国で植民地の独立運動が盛んになる中、ポルトガルのエスタド・ノヴォ体制は長期にわたる植民地支配を維持しようとしていました。公式には、1951年以降、ポルトガルのアフリカ植民地は海外州と見なされるようになりましたが、実際の統治は植民地時代から変わりませんでした。このことに不満を抱いた現地住民は独立運動を激化させ、多くの武装組織が誕生しました。

特に、ポルトガル領西アフリカのアンゴラでは、MPLA（アンゴラ解放人民運動）、UNITA（アンゴラ国民同盟）、FNLA（アンゴラ民族解放戦線）といった組織が独立を求めました。ポルトガル領モザンビークではFRELIMO（モザンビーク解放戦線）、ギニアビサウではPAIGC（ギニア・カーボベルデ独立アフリカ党）が独立運動を展開しました。

戦争の展開

1961年、アンゴラでUPA（アンゴラ人民同盟）が武装反乱を始め、次第に独立戦争は広がりました。ポルトガル政府は、国際的な非難や経済制裁を受けながら、これらの運動を抑え込もうとしましたが、戦局は厳しく、数々の残虐行為が生じました。

1974年、ポルトガル本国でカーネーション革命が起こり、軍の一部が植民地戦争の終結を目指して蜂起しました。これにより、ポルトガルの軍は急速に撤退し、独立ゲリラに権力が移譲されました。この結果、アンゴラ、モザンビーク、ギニアビサウは独立を果たしましたが、それぞれの国で内戦が続き、経済的な不安定や政治的な混乱が深刻化しました。

戦争の影響

ポルトガルの植民地戦争の終了は、数十万人のポルトガル市民と軍関係者の帰還をもたらし、大規模な移民が発生しました。しかし、独立を果たした国々は、すぐには安定を見出さず、内戦、貧困、腐敗が蔓延しました。特に、アンゴラ、モザンビーク、ギニアビサウでは、独立後数十年間にわたって戦争が続き、数百万もの死者と難民を生む要因となりました。

ポルトガルは、1415年にセウタを攻略しアフリカに植民地を築いた最初の国であり、1974年までアフリカ大陸から撤退しなかった最後の西欧国でもあります。独立を果たした国々の指導者として、アンゴラのアゴスティニョ・ネト、モザンビークのサモラ・マシェル、ギニアビサウのルイス・カブラルが挙げられます。彼らはそれぞれ独立国家の形成に寄与し、独立後の政治的、経済的な課題に取り組んでいくこととなります。

結論

ポルトガルの植民地戦争は、単なる独立運動にとどまらず、冷戦の構造とかけて、地域の政治変動や国際的な力関係の変化をもたらしました。この戦争の影響は、ポルトガル本国や独立した国々において、今なお残り続けており、歴史的な教訓を与えています。

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