ポワティエの戦い

ポワティエの戦い

ポワティエの戦い（1356年9月19日）は、百年戦争の重要な局面の一つであり、プランタジネット朝のイングランドとヴァロワ朝のフランスとの間で行われました。この戦いは、エドワード黒太子が指揮をとったイングランド軍が、戦術を駆使しフランス軍に圧勝したことから、その名が広まりました。

戦闘前の情勢

戦闘の数週間前、エドワード黒太子はアキテーヌ地方を拠点に北上を開始しました。彼は地元の守備隊を破り、食料などの物資を略奪しながら、進軍を続けました。一方、フランス王ジャン2世は、大雨による行軍の遅延もあって、イングランド軍に追いつこうと試みました。

陣形

イングランド軍

エドワード黒太子は、クレシーの戦いにおける成功を基にした作戦を立案しました。彼は、自然の障害物に囲まれた平野に陣地を構築し、左翼には小さなクリーク、背後には森を配置し、唯一の脆弱な右側面には荷車でバリケードを形成しました。さらに、騎兵を降ろし、歩兵に再編成し、両翼には長弓部隊が配置されました。

フランス軍

フランス軍は、ジャン2世によって4つの部隊に分けられました。第一陣はエリート騎士や傭兵で構成され、敵の長弓部隊と対抗する作戦を持っていました。続く第二陣は王太子シャルル、第三陣はオルレアン公フィリップが率い、最後にジャン王自身の指揮する第四陣が存在しました。多くの騎兵は馬を降り、歩兵として戦うことに決めました。

戦闘の進行

戦闘はイングランド軍の左翼が後退するかに見えたことで開始され、フランス軍がこれに突進しました。イングランド軍は予期した通りフランス軍に矢を放つことで反撃し、特にフランス騎士の鎧が矢を弾く中、長弓部隊はフランス軍の馬を狙いました。

第一陣の騎兵が大損害を受け、その後のフランス部隊も混乱をきたしました。王太子率いる第二陣が攻撃を試みましたが、敗北したため撤退し、次第に第三陣や第四陣も恐慌状態に陥りました。この混乱の中、イングランド軍は背後に隠していた騎兵部隊による奇襲を成功させ、フランス軍はついには逃走を余儀なくされました。

戦いの影響

ポワティエの戦いの結果、フランスは軍事的にも経済的にも甚大な打撃を受けました。エドワード黒太子は捕虜となったジャン2世から巨額の身代金を要求し、その交渉が持続する中で最終的にはブレティニー条約に基づく額に合意しました。戦後、ジャン2世は自身の地位に逆行しながら、再びロンドンに赴き、捕虜として死を迎える結果に繋がりました。

この戦いは、少数の軍が圧倒的多数を打ち負かすという、戦術の優越性を証明した結果となり、後の戦争史においても語り継がれることとなります。ウジェーヌ・ドラクロワが描いた絵画でも将来の戦いとその影響を表現しています。

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