ポンポン山 (近畿)

ポンポン山：歴史と謎に包まれた二つの顔を持つ山

京都府京都市西京区と大阪府高槻市の境に位置するポンポン山は、標高678.7mを誇り、両市における最高峰として知られています。西京区と高槻市の境界に位置する山頂には二等三角点が設置され、古くは加茂勢山と呼ばれていました。北摂山系に属し、東海自然歩道が山頂付近を通過することから、多くの登山者やハイカーが訪れる人気の山です。特に1月1日の初日の出は、山頂から眺める絶景を求めて多くの登山者で賑わいます。

山頂にはベンチやテーブルが設置されており、休憩に最適な空間となっています。しかし、かつては樹木の繁茂により展望がほとんど遮られていました。近年、一部樹木の伐採が行われ、京都市南部方面と大阪市・高槻市方面の眺望が回復しました。しかし、この伐採は地主の許可を得ない違法行為であり、器物損壊と森林窃盗に当たるとして警察への被害届が出されています。現在、地主はヒノキの植林による原状回復に努めていますが、元の状態に戻るには30年もの歳月がかかると言われています。

登山道は複数存在し、高槻市側からは神峯山寺や本山寺からのルート、京都市西京区側からは善峯寺からのルート、そして高槻市出灰からのルート、さらに大阪府三島郡島本町の大沢から釈迦岳山頂を通過するルートなどがあります。多様なルートからアクセスできるのも、ポンポン山の魅力の一つです。

ポンポン山という名の由来

江戸時代頃までは「かもせ山」と呼ばれており、その表記には「加茂勢山」（『五畿内志』）や「加茂背山」（『日本山嶽志』）などが見られます。現在の「ポンポン山」という名称は明治時代になってから用いられるようになり、当初は山頂付近のみを指していました。山頂には京都府が設置した案内板があり、「この山は正しくは加茂勢山といいますが、標高679メートルの頂上に近づくにつれて足音がポンポンとひびくことから通称ポンポン山と呼ばれています」と説明されています。

しかし、名称の由来については諸説あります。本山寺の転訛説や、「この周辺の山ではポーンとひとつ高い山だから」という地元の古老の話も伝えられています。地理学者である吉田金彦氏は、これらの説を否定し、ポルトガル語の「ポン」（一番）が由来ではないかと推測しています。一般的には「足音ポンポン説」がよく知られていますが、山頂付近で常に「ポンポン」という音がするわけではなく、地中に空洞があるような音がする場所が一部にあるのみです。

この音の原因については、山頂近くの石灰岩の切り出し、地下に鍾乳洞が存在する、あるいは山の地層に空洞があるなど、様々な説が提唱されています。国土地理院の地形図には「ポンポン山」と記載されているのみで、「加茂勢山」の表記はありません。現在では一般的に山全体を指して「ポンポン山」と呼ばれており、『日本山名事典』（2004年刊）では「ポンポン山」と「加茂勢山」の両名称が掲載されています。

ポンポン山は、その歴史、名称の由来、そして地質にまつわる謎など、多くの魅力を秘めた山です。豊かな自然と歴史に彩られたポンポン山は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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