ポール・デュボア

ポール・デュボア（Paul Dubois、1829年7月18日 - 1905年5月23日）は、19世紀のフランスを代表する彫刻家、画家です。彼の作品は、ルネサンス期のフィレンツェ彫刻から強い影響を受けており、古典的な美しさと写実的な表現が見事に融合している点が特徴です。「デュボア＝ピガル」の名前で作品を発表していた時期もありました。

生涯

オーブ県のノジャン＝シュル＝セーヌで、地元の名士であり王室の役人も務めた父のもとに生まれました。また、彼の祖父母の兄弟には、著名な彫刻家ジャン＝バティスト・ピガルがいました。当初は法律を学びましたが、芸術への情熱を捨てきれず、パリのエコール・デ・ボザールで彫刻家アルマン・トゥサンに師事。その後、イタリアへ留学し、ルネサンス美術を深く研究しました。

1860年のサロン・ド・パリに母子像を出展し、1863年には2点の作品を出展してメダルを受賞。この頃から、イタリア・ルネサンス彫刻からの影響が色濃く見られるようになります。

1865年、サロンで発表した『フィレンツェの歌手』が名誉メダルを獲得し、一躍名声を確立しました。その後、オマール侯爵からシャンティイ城に設置するアンヌ・ド・モンモランシーの騎馬像の制作依頼を受けるなど、数々の重要な commissions を手がけました。代表作としては、他にナント大聖堂の『ラモリシェール将軍の墓』などがあります。

デュボアは、アンリ・シャピュ、アレクサンドル・ファルギエールといった著名な彫刻家や、音楽家のジョルジュ・ビゼーとも親交がありました。彼は芸術家たちのコミュニティの中心人物の一人だったと言えるでしょう。

1873年には、フランス芸術アカデミーの会員に選出され、リュクサンブール美術館の学芸員にも就任。1878年には、ウジェーヌ・ギヨームの後任として、パリ国立高等美術学校の校長に任命され、後進の育成にも尽力しました。Fabio Stecchi など、多くの才能ある学生を育てています。

1889年には、その長年の功績が認められ、レジオンドヌール勲章のグランクロワを受勲しました。

主な作品

母子像 (1860)
フィレンツェの歌手 (1865)
アンヌ・ド・モンモランシー騎馬像
ラモリシェール将軍の墓（ナント大聖堂）


ポール・デュボアは、19世紀フランスにおける重要な彫刻家の一人として、その名声を確立しました。彼の作品は、現在も世界中の美術館で鑑賞することができます。

参考文献

* Bernard Dorival (dir.), Histoire de l'Art : du réalisme à nos jours, t. IV, Paris, Gallimard, coll. « Encyclopédie de la Pléiade » (no 28), 1969

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