ポール・ベアラー

ポール・ベアラー、本名ウィリアム・アルビン・ムーディは、1954年4月10日、アメリカ合衆国アラバマ州モービル生まれのプロレスマネージャーとして広く知られています。WWEにおいて、ジ・アンダーテイカーやケインのマネージャーとして活躍し、“ファーザー・オブ・デストラクション（破壊の父）”の異名をとりました。

彼のキャリアは1974年、アラバマ州ガルフコースト地区でのプロレスラーデビューから始まります。覆面レスラーとして活動した後、アメリカ空軍に入隊。除隊後の1976年には葬儀ディレクターの資格を取得するという異色の経歴を持っています。

1977年、レスラーを引退し、パーシー・プリングル3世としてヒールマネージャーに転身。1979年には国際プロレスの『'79ビッグ・サマー・シリーズ』にザ・モンゴリアンズのマネージャーとして初来日を果たしました。その悪名高いマネージャーぶりは、凶器使用や試合への介入など、観客を興奮の渦に巻き込みました。しかし、この来日時には東京サミット開催と重なり、不審人物として入国審査に引っかかったという逸話も残っています。

1980年代前半は葬儀業に専念した後、1985年にマネージャーとして本格的に復帰。WCCWやCWFなど、南部のNWA圏を中心に活動し、若き日のアルティメット・ウォリアーやスティーブ・オースチンなどをマネージメントしました。

1991年、WWFと契約し、ジ・アンダーテイカーの新しいマネージャーとしてポール・ベアラーとして登場。骨壺を持ち、喪服を着た白塗りの姿は、彼の葬儀ディレクターとしての経験を反映したものでした。巧みな話術で人気を博し、“フューネラル・パーラー”というインタビューコーナーも担当しました。アンダーテイカーとの怪奇派コンビは、1990年代のWWFを代表する存在となりました。

その後、ジェイク・ロバーツとの仲間割れを経てベビーフェイスに転向。1996年にはアンダーテイカーを裏切りヒールに転向、ケインとの抗争においては、ケインの父親という設定も加わり、ストーリーに深みを与えました。1998年にはアンダーテイカーと再びタッグを組み、“ミニストリー・オブ・ダークネス”を結成。ストーン・コールド・スティーブ・オースチンやザ・ロックなど、アティテュード時代のトップレスラーと激しく抗争しました。

2000年代に入ると、ロード・エージェントやステージマネージャーなどの裏方業務も担当。2002年にWWFとの契約が満了した後、TNAを経て、2004年にWWEに復帰。アンダーテイカーのマネージャーとして再び活躍しました。2007年にWWEを退団後は、故郷で葬儀サービス事業を営みながら、インディー団体にスポット参戦するなど、プロレス界との関わりを続けました。

2010年には短期間ながらWWEに復帰。アンダーテイカーとケインの抗争に再び関わるも、エッジの策略によってケインに裏切られ、高所から突き落とされるという衝撃的な結末を迎えました。2012年にはケインとランディ・オートンの抗争に絡んで登場。冷凍室に監禁されるなど、激しい展開に巻き込まれました。

2013年3月5日、58歳で心臓発作のため死去。2014年にはWWE殿堂入りを果たし、アンダーテイカーが弔辞として骨壺を掲げました。

ポール・ベアラーは、独特のキャラクターと卓越した話術でプロレス界に大きな足跡を残しました。彼の個性的なスタイルと数々のエピソードは、多くのプロレスファンに今も語り継がれています。 彼によってマネージメントされたレスラーは、ジ・アンダーテイカー、ケイン、ベイダー、マンカインド、ザ・モンゴリアンズ、スティーブ・オースチンなど、数多くのスターを輩出しました。 彼の存在は、プロレス史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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