ジェイク・ロバーツ

ジェイク・ザ・スネーク・ロバーツ：プロレス界のレジェンド

ジェイク・ザ・スネーク・ロバーツ。その名は、1980年代のプロレス黄金期を彩ったスーパースターとして、多くのプロレスファンに記憶されている。本名オーレリアン・ジェイコブ・スミスJr.、1955年5月30日生まれ、テキサス州ゲインズビル出身。レスラー一家に生まれ、父グリズリー・ジェイク・スミスらの指導の下、17歳でプロレスラーとしてのキャリアをスタートさせた。

華麗なるキャリアの軌跡

1975年のデビュー後、アメリカ各地を転戦。1979年には初来日を果たし、国際プロレスで活躍。ラッシャー木村との金網デスマッチなど、数々の激闘を繰り広げた。カナダのスタンピード・レスリングでは北米ヘビー級王座を獲得。さらに、国際プロレスではキッスを模した白塗りメイクで登場し、日本にペイントレスラーという新しいスタイルを持ち込んだパイオニアでもある。

その後は、MSWAを主戦場として、ミッドサウス版北米ヘビー級王座、ルイジアナ・ヘビー級王座など数々のタイトルを獲得。NWAミッドアトランティック地区でも活躍するも、スターダムを掴むには至らなかった。

転機となったのは1982年のヒール転向。フロリダ地区でケビン・サリバン、ジム・ガービンらと抗争を繰り広げ、「ザ・スネーク」の異名をとるようになる。冷酷で陰湿なキャラクターと独特の動きは、たちまち観客を魅了した。ジョージア・チャンピオンシップ・レスリングではNWAナショナルTV王座を獲得。リージョン・オブ・ドゥームの一員として、ロード・ウォリアーズとタッグを組んだ時期もあった。

1986年、WWFに移籍。ビンス・マクマホンによって、キャラクターはさらに深みを増す。「ザ・スネーク」は、蛇柄の衣装に身を包み、ペットのニシキヘビ「ダミアン」を携え、怪奇派ヒールとして人気を博した。スネーク・ピットというインタビューコーナーも担当し、人気を不動のものにした。

WWFでは、リッキー・ザ・ドラゴン・スティムボートとの抗争、ホンキー・トンク・マン、リック・ルードらとの抗争などを展開。ベビーフェイスに転向した時期もあったが、アンドレ・ザ・ジャイアントとの「蛇嫌い」設定の抗争など、様々な形で存在感を示した。1990年には10年ぶりとなる来日を果たし、東京ドーム大会でビッグ・ボスマンを破る勝利を収めた。

その後、ヒールに転向し、ランディ・サベージとの抗争を繰り広げた後、WWFを退団。WCW、新日本プロレス、ECWなど、数々の団体を転戦。1994年にはメキシコAAAでヘアバンドマッチを行い敗退、髪の毛を刈られるという苦い経験もした。

1996年、ロイヤルランブルにサプライズ出場。敬虔なクリスチャンに転向したことを反映した、ベビーフェイスとしてWWFに復帰。キング・オブ・ザ・リングではストーン・コールド・スティーブ・オースチンとの対戦で、オースチンの有名なキャッチフレーズ「Austin 3:16」を生み出すきっかけを作ることとなった。その後、ジェリー・ローラーとの抗争を経て、WWFを解雇された。

WWF退団後は表舞台から遠ざかったが、1999年のドキュメンタリー映画『ビヨンド・ザ・マット』で、自身の苦悩や私生活について赤裸々に語った。2005年にはWWE RAWにゲスト出演。2014年にはWWE殿堂入りを果たし、その功績を称えられた。

DDT：独自の技とレガシー

ロバーツの代表的な得意技といえば、DDT。その開発者としても知られている。独特の滑るような動きと、背中でフォールを取るスタイルは、「ザ・スネーク」のキャラクターに完璧にマッチした。ジョージア時代からの盟友アーン・アンダーソンや、レイヴェンら多くのレスラーがその技を受け継いでいる。ショートアーム・クローズライン、ニーリフト、ガットバスターなども得意技としていた。愛蛇ダミアンを使った攻撃も、彼ならではの演出だった。

プロレス界への多大な影響

ジェイク・ザ・スネーク・ロバーツ。その破滅的なイメージとは裏腹に、多くのプロレスラーに影響を与えた。CMパンク、ブレイ・ワイアット、レイヴェンなど、彼を敬愛する選手は少なくない。リング上でのパフォーマンス、キャラクター、そして人生そのもの。全てにおいて、彼はプロレス界に不滅の足跡を残したレジェンドである。

獲得タイトル

スタンピード・レスリング：スタンピード北米ヘビー級王座
ミッドサウス・レスリング・アソシエーション：ミッドサウス北米ヘビー級王座、ミッドサウス・ルイジアナ・ヘビー級王座、ミッドサウスTV王座
ジョージア・チャンピオンシップ・レスリング：NWAナショナルTV王座
ワールド・クラス・チャンピオンシップ・レスリング：WCCW TV王座、NWA世界6人タッグ王座
スモーキー・マウンテン・レスリング：SMWヘビー級王座
ワールド・レスリング・エンターテインメント：WWE殿堂
* その他：AWN世界ヘビー級王座、AWFプエルトリカン・ヘビー級王座、BBOWヘビー級王座

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