ポール・ボードリー

ポール・ジャック・エメ・ボードリーの生涯と業績

ポール・ジャック・エメ・ボードリー（1828年11月7日 - 1886年1月17日）は、フランスの著名な画家で、特に第二帝政時代のアカデミック絵画の分野で高く評価されています。彼は西フランスのヴァンデ県に生まれ、後にパリへ移り住みました。

教育と初期のキャリア

ボードリーは、名門のパリ国立高等美術学校で絵画を学びました。彼の才能が発揮されたのは1850年にさかのぼり、『アラス川の川岸で発見されたゼノビア』という作品でローマ賞を受賞したことでした。この作品は、古代の女王ゼノビアをテーマにしていますが、彼の描写したゼノビアはラダミストゥスの妻としての姿です。この受賞により、ボードリーは一躍注目を浴びることとなりました。

ボードリーはイタリアを訪れ、コレッジョの作品に深い感銘を受け、しばしばその影響が見られる作品を制作しました。彼は主に壁画を描くことで知られていますが、肖像画や歴史画にも取り組み、そのスタイルは細やかでドラマティックでした。

職業としての成功

ボードリーはナポレオン3世から重用され、ガルニエ宮の装飾を依頼されました。このプロジェクトには約10年間従事し、彼の名声は一層高まりました。加えて、1854年には銀行家ルイ・フールの邸宅や、1863年にはオテル・マティニョン、さらにラ・パイヴァ侯爵邸やシャンティイ城の装飾を手掛けるなど、彼は多くの有名な建物の装飾を担いました。これらの作品は今もなお、彼の卓越した技術を物語っています。

1870年には芸術アカデミーの会員として迎えられ、フランス美術界における彼の地位は確立されました。ボードリーはオリエントへの旅行を計画し、パンテオンの装飾を手掛ける意向でしたが、残念ながらその計画は人生の終わりと共に叶いませんでした。彼は1886年にパリで亡くなり、ペール・ラシェーズ墓地に埋葬されました。

代表作

彼の作品は、文筆家や美術愛好家の間で特に称賛されています。以下は彼の代表作の一部です。

• - ミネルウァの持ち物を運ぶアモール（シャンティイ城コンデ美術館）
• - 休息するディアナ（シャンティイ城コンデ美術館）
• - プシューケーの誘拐（シャンティイ城コンデ美術館）
• - 運命の女神と幼子（オルセー美術館）
• - マラーの暗殺（ナント美術館）
• - ウェヌスの化粧（ボルドー美術館）
• - 真実（オルセー美術館）
• - シャルル・ガルニエ夫人の肖像（オルセー美術館）

彼の作品は彼の技術的な熟練を示し、同時に感情を表現する力も持っています。ボードリーの独自の芸術観は、19世紀フランス美術の重要な部分を占めており、その影響は今なお色褪せることはありません。

もう一度検索