ポール・ロブスン

ポール・ロブスン

ポール・リロイ・バスティル・ロブスン（1898年4月9日 - 1976年1月23日）は、幅広い才能を持つアメリカの公民権活動家、バスバリトン歌手、俳優、作家、そして運動選手として知られています。特に、彼の名声を決定づけたのは「義勇軍進行曲」の英訳や、オペラと舞台での演技です。また、ソ連を支持し、スターリン平和賞を受賞したことでも有名です。

若年期と家族

ロブスンはニュージャージー州プリンストンで生まれました。彼の家系はアフリカ系アメリカ人に属し、父ウィリアム・ドリュー・ロブスンは奴隷から脱出し、後に教会の牧師となりました。母のマリア・ルイザ・バスティルは福利活動に取り組んでいた家庭に育ちました。ポールには4人の兄弟がいて、それぞれの道で成功を収めています。高校時代、彼は演技や歌唱、スポーツといった多方面に才能を発揮し、首席で卒業しました。

教育と運動選手としての活動

ロブスンは奨学金を得てラトガース大学に進学し、そこで唯一の黒人学生として在籍しました。学業だけでなく、フットボールや陸上競技でもトップ選手として活躍しました。特にフットボールでは全米1位チームに選ばれるほどの実力を持ち、その後コロンビア大学法科大学院へ進学し、プロフットボール選手として名を馳せることになります。

演劇と音楽活動

俳優及びバスバリトン歌手としてのキャリアの始まりは、1920年代初頭のハーレムでの公演からです。特に、彼がシェイクスピアの『オセロ』で演じた役は高く評価され、ブロードウェイでも大きな成功を収めることになります。また、『ショウボート』や『ポーギーとベス』においても重要な役を演じ、当時のアメリカ合衆国における黒人文化の発展に寄与しました。

映画界での功績

ロブスンは、多くの映画にも出演し、特に『ショウボート』における演技は高く評価されました。また、映画『キング・ソロモンの財宝』にも出演し、彼の存在感は画面を通じて見る人々に強い印象を与えました。

政治的活動と公民権運動

ロブスンは公民権運動にも深く関わり、アメリカ黒人の権利向上に尽力しました。特にリンチ反対の声を高め、1946年にはアメリカ反リンチ十字軍を設立しました。彼は国際的な関心を集め、多くの人々に影響を与えた存在です。

ソ連への共感とその影響

1930年代にソ連を訪れたロブスンは、その社会に魅了され、以降の政治的な立場にも影響を及ぼしました。彼は一貫してソ連を支持し、スターリンの政策を擁護する立場を取ることが多く、そのためにアメリカ国内での批判の的となることもありました。彼の作品や活動は反共主義の時代には理解されづらくなり、1960年代にはますます困難な状況に直面しました。

晩年とその後の評価

晩年は健康上の問題に苦しみましたが、ポール・ロブスンの影響は大きく、彼の名前は今なお多くの分野で語り継がれています。1976年に死去した後も、その遺志は多くの人々に受け継がれ、彼の作品や功績が再評価され続けています。彼はポジティブな影響を人々に与え、その生涯はアメリカの文化史において重要な位置を占めています。

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