マアムーン

マアムーンの生涯と治世

概要

マアムーンは786年9月14日に生まれ、833年8月9日に亡くなった、アッバース朝第7代カリフです。彼は、内戦や地方の反乱といった多くの困難に直面しながらも、文化と学問の発展に寄与したことで知られています。彼の統治期間は、アッバース朝の輝かしい時代に繋がる重要な時期であり、彼の行動はその後のイスラム世界に大きな影響を与えました。

生い立ち

マアムーンは、アッバース朝の第5代カリフであるハールーン・アッラシードの長子として生まれました。名前はアブドゥッラーで、彼の母はイラン系の女奴隷であったマラーズィルであり、彼が生まれた後に急死しました。そのため、彼はハールーン・アッ＝ラシードの正后ズバイダによって育てられました。アブドゥッラーは長子でしたが、794年に次男ムハンマド（後のアミーン）が第一後継者に指名され、その後彼自身は第二位の継承者に位置付けられることとなりました。

内戦と権力の奪取

809年、ムハンマドがカリフとして即位しましたが、数年後に彼とアブドゥッラーの間で権力を巡る争いが始まりました。アミーンは誓書を破り、自身の息子を後継者にしようとしました。この状況に対抗するため、アブドゥッラーはイマームを名乗って立ち上がり、内部で内戦が勃発しました。812年には、アブドゥッラーは正式にカリフとしての名乗りをあげ、最終的にはアミーンが敗北し、捕らえられて殺害されました。

後継者の選定と反発

カリフとなったマアムーンは、反アッバース朝運動を行うアリー家の者を後継者に指名するという驚きの行動に出ます。817年には、十二イマーム派第9代イマームであるムハンマド・アル＝リダーを後継者として選び、アッ＝リダーという称号を授与しました。彼はアッバース家の色を黒からアリー家の緑に変更することで、反発を招く結果となり、多くの反乱が勃発しました。特にイラク地方では、忠誠を誓ったのはバスラ総督のみで、他の者は反乱軍に加わる事態となりました。

文化と学問への貢献

マアムーンは、教育と文化を重視し、アッバース朝の中でも特に学問を愛したカリフでした。彼はギリシャ文献の翻訳や収集を奨励し、827年には「アルマゲスト」を翻訳させたほか、826年頃には知恵の家を設立しました。そこでは多くの優秀な学者が集い、天文学や数学、医学、哲学の研究が行われました。学者たちはバグダードで盛大な活動をし、現在に継承される知識の基盤を築きました。また、マアムーンはエジプト訪問時にピラミッドの内部を調査させるなど、知識探求への熱意を示しました。

終焉とその後

833年にマアムーンはタルスス付近で亡くなりました。その後のアッバース朝は、イスラム原理主義の台頭や地方政策における混乱によって次第に衰退していきました。マアムーンの治世は、彼の文化的貢献と権力闘争、そして内戦の歴史と共に、アッバース朝の重要な時期として記憶されています。

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