マアリブ (イエメン)

マアリブ：イエメンの歴史と文化の宝庫

マアリブは、イエメンの都市であり、古代においてはサバア王国の首都として栄えた歴史的な場所です。2005年の時点で、人口は約16,794人とされ、サナアの東に120kmの距離に位置しています。この地は、かつてシバの女王ビルキスが住んでいたとされるアルシュ・ビルキスなどの遺跡が点在しており、その歴史的な背景を物語っています。

マアリブの歴史とダムの重要性

サバア王国は、肥沃な農業地帯を支えるためにマアリブ・ダムを築き、このダムは1,000年以上にわたって地域の繁栄を支えました。ダムが維持されていた間、マアリブは乳香や没薬の交易で知られ、エリトリアに位置するダムト王国との経済的な関係も築いていました。しかし、西暦575年にこのダムは崩壊し、その後20世紀まで再建されることはありませんでした。また、クルアーンに記されているように、2世紀の初めにも決壊があり、その結果、果樹園が荒廃したエピソードもあります。

1986年にはアラブ首長国連邦の支援によって新しいダムが完成し、1,500年ぶりにダムの機能が復活しました。この新ダムの存在によって、マアリブの周辺地域は再び潤い、経済活動が活発になりました。

現代のマアリブと内戦

近代においては、1990年代に新市街が旧市街からの3.5km北に建設されました。さらに、1986年には石油精製所が設立され、2009年には1日1万バレルの精製能力を誇るようになりました。この精製能力は、契約によって25,000バレルへの増設が予定されているほか、マアリブ-ラス・イサパイプラインを通じて日々20万バレルの石油を供給することが可能です。

2015年以降、イエメン内戦が始まり、マアリブの支配権は双方の勢力にとって大きな関心事となりました。特に、石油の資源を有するこの地域の争奪戦は激烈を極め、サウジアラビアを支援する政府軍と、反政府軍であるフーシ派の間での戦闘が続いています。

世界遺産としてのマアリブ

マアリブは、古代アラビア半島南部における乳香貿易の中心地として知られており、繁栄していた時期には高度な灌漑システムや神殿が存在していました。しかし、現在は政治の混乱や経済的な問題からその保存状態が悪化しており、2023年には世界遺産委員会の臨時会議で危機遺産に登録される事態にまで至っています。

世界遺産として指定されたのは、以下の7箇所です：

• - マアリブ旧市街
• - アワム神殿
• - バラン神殿
• - マアリブ・ダム北岸
• - マアリブ・ダム南岸
• - マアリブ・ダム - ジュファイナ・ダム
• - シルワーフ旧市街

この遺産は、人類の歴史上の重要な文化的伝統や文明の証拠を示し、優れた建築様式や景観の例として評価されています。これからもマアリブの魅力とその文化的価値が守られることを願っています。

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