マイクロドライブ

マイクロドライブは、日立グローバルストレージテクノロジーズ（現・HGST）が製造・販売していた1インチ径のハードディスクドライブ（HDD）です。TypeIIのコンパクトフラッシュ（CF）カードと同じ形状の筐体に、1インチHDDを組み込んだ製品で、多くのコンパクトフラッシュ対応機器で利用可能でした。最大容量は2005年に発売された8GBモデルでした。

IBMが開発・販売していましたが、HDD事業部門が日立製作所に売却されたことに伴い、2003年以降は日立グローバルストレージテクノロジーズ（HGST）が製造・販売を引き継ぎました。ブランドロゴもIBMからHITACHIに変更されました。なお、Microdrive、マイクロドライブはHGSTの登録商標です。

HDDの特性から大容量化と低価格化が容易で、登場当初は容量あたりの価格でメモリーカードよりも安価でした。コンパクトフラッシュメモリカードと比較して大容量である点も強みでした。しかし、その後フラッシュメモリが急速に大容量化と低価格化が進んだため、マイクロドライブの利点は失われていきました。デジタルカメラなどの電子機器で単体販売されたほか、AppleのiPod miniやクリエイティブテクノロジーのNOMAD MuVo2などの携帯音楽プレーヤーの内蔵部品としても採用されていました。

iPod miniは小型軽量化がユーザーに歓迎されヒットしましたが、発売翌年の2005年にはフラッシュメモリを採用したiPod nanoが登場し、iPod miniは早々に生産終了となりました。このようにフラッシュメモリの急速な進歩に追いつけず、マイクロドライブ市場は終息に向かいました。HDDであるため、モーターでディスクを回転させる必要があり、加重や衝撃に弱く、発熱や消費電力が大きいという欠点がありました。ただし、軽量なため、3.5インチや2.5インチHDDと比較すると衝撃には強いとされていました。また、転送速度もiPod mini搭載機種で実効毎秒4.3～7.2MB程度と、同時期のコンパクトフラッシュと同程度でしたが、その後1～2年で12MBや20MB程度に高速化したコンパクトフラッシュの進歩には追いつけませんでした。

マイクロドライブは基本的にコンパクトフラッシュカードスロットを備えている機器で使用できますが、消費電力が大きいため、カードスロットの電源供給が追いつかない機種もありました。特にマイクロドライブ登場当初は対応機種は多くありませんでした。また、TypeIの厚さしかないスロットには装着できず、FAT32に対応していない機種では認識できない場合もありました。コンパクトフラッシュとは電気的な特性だけでなく物理的な特性も異なるため、メーカーが公開している対応表を参照して判断する必要があります。対応表に使用可否の記載がない場合でも使えることがありますが、発熱による変形や誤動作などの不具合が生じる可能性もあります。

東芝が製造していたGENIO eシリーズでは、各機種にマイクロドライブ付きモデルが用意されていました。

1インチHDDを使用した同様の製品は、シーゲイト・テクノロジーやGS Magicstorなどからも出荷されていました。しかし、「コンパクトフラッシュ状のHDDカード」には統一名称が存在しなかったため、これらの他社製品を含めた総称としてマイクロドライブの名前が便宜的に使われることもありました。

製品出荷状況は以下の通りです。

340MB - 1999年6月28日
1GB/512MB - 2000年7月
4GB/2GB - 2003年11月
6GB - 2005年2月
8GB - 2005年10月

関連項目
モバイルディスク

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