マイクロプローズ

マイクロプローズは、1982年にシド・マイヤーとビル・ステーリーによってアメリカで設立されたゲーム会社です。当初は「マイクロプローズ・ソフトウェア」という名称で、主にホビーパソコン向けのゲームを販売していました。特に、フライトシミュレーションや軍事シミュレーションゲームは高い評価を受け、その後のゲーム業界に大きな影響を与えました。

マイクロプローズ・ソフトウェアの黎明期

マイクロプローズは、創業当初から独自の路線を歩み、数々の名作を生み出しました。代表的な作品には、以下のようなものがあります。

Airborne Ranger: 戦場を舞台にしたアクションゲーム
パイレーツ!: 海賊をテーマにしたアドベンチャーゲーム
Spitfire Ace: 第二次世界大戦を舞台にしたフライトシミュレーション
レイルロードタイクーン: 鉄道会社経営シミュレーション
シヴィライゼーション: 歴史をテーマにしたストラテジーゲーム

これらのゲームは、当時のゲームファンを魅了し、マイクロプローズの地位を確立しました。また、事業拡大のため、イギリスでは「MicroStyle」、アメリカでは「MicroPlay」というレーベルを立ち上げ、これらのレーベルからも数々のヒット作が生まれました。

Rick Dangerous 2: アドベンチャーゲーム
Stunt Car Racer: レースゲーム
Xenophobe: アクションゲーム

Spectrum HoloByte による買収と独立性の喪失

1993年、マイクロプローズはゲーム会社Spectrum HoloByteに買収されました。創業者の一人であるビル・ステーリーは1994年にSpectrum HoloByteを離れ、新たにシミュレーションソフトウェアの企業Interactive Magicを設立しました。マイクロプローズはSpectrum HoloByteに吸収されることなく、独立ブランドとして存続しましたが、1996年には経営難に陥り、従業員の解雇が開始されました。

この解雇を受けて、シド・マイヤーとジェフ・ブリッグスはマイクロプローズを離れ、新たにFiraxis Gamesを設立しました。また、『Civilization II』を設計したブライアン・レイノルズもFiraxis Gamesに移籍しました。イギリスのゲーム開発チームはシグノシスに移籍し、マイクロプローズの元従業員も多く集まりました。これらの動きは、マイクロプローズが組織として大きな転換期を迎えたことを示しています。

ハズブロによる買収とブランドの消滅

1998年、マイクロプローズのブランドと資産は、玩具メーカーのハズブロによって7000万ドルで買収され、Hasbro Interactiveの一部となりました。買収当時、マイクロプローズの人件費は年間2000万ドルにも及んでいました。ハズブロによる買収時、マイクロプローズには343人の従業員がおり、そのうち135人がカリフォルニア州アラメダで働いていました。アラメダの他に、メリーランド州ハントバレー、ノースカロライナ州チャペルヒル、そしてイギリスのグロスタシャーに開発スタジオを持っていましたが、1999年12月にはアラメダとチャペルヒルのスタジオが閉鎖されました。

2001年1月、ハズブロのビデオゲーム部門は、フランスのゲーム企業インフォグラムによって1億ドルで買収されました。この買収により、マイクロプローズのブランドは消滅しました。マイクロプローズが最後に開発したゲームは、イギリス版の『Grand Prix 4』であり、2002年後半に発売されました。インフォグラムは、イギリスにあったマイクロプローズのスタジオも2002年9月に閉鎖しました。

ブランドの復活とその後

2007年夏、Interactive Game GroupがAtari Interactiveからマイクロプローズのブランドを取得しました。しかし、この取引がインフォグラムとの間で行われたのかは不明です。Interactive Game Groupは、マイクロプローズのブランド名をLegacy Engineering Groupにライセンス供与し、Legacy Engineering Groupはコンシューマ電子機器を販売するMicroProse Systemsを立ち上げましたが、契約が更新されず、同社はLegacy Consumer Electronicsに社名を変更しました。マイクロプローズのブランドは、数々の変遷を経て、ゲーム業界の歴史の中にその名を刻んでいます。

このように、マイクロプローズは、その創業から買収、そしてブランドの復活という波乱に満ちた歴史を歩んできました。そのゲームは、今も多くのファンに愛され続けています。

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