マイク・ムッシーナ

マイケル・ムッシーナ：精密機械と称された名投手

マイケル・コール・ムッシーナは、1968年12月8日、アメリカ合衆国ペンシルベニア州で生まれました。その精密なコントロールと、多彩な球種から「精密機械」と称され、メジャーリーグで長きにわたり活躍した名投手です。ニックネームは「Moose」。

プロ入り前

1987年のMLBドラフトでボルチモア・オリオールズから11巡目で指名を受けるも、契約せずにスタンフォード大学へ進学。1990年のMLBドラフトで1巡目（全体20位）でオリオールズから再び指名を受け、プロの世界へと足を踏み入れました。

ボルチモア・オリオールズ時代

1991年、AAA級ロチェスターで好成績を収めメジャー昇格。8月4日のシカゴ・ホワイトソックス戦でメジャーデビューを飾ります。この試合で8回途中1失点と好投するも、援護なく敗戦投手となりました。同年は4勝5敗、防御率2.87を記録。

1992年には開幕から先発ローテーション入りし、開幕5連勝。6月16日にはメジャー初完封を達成。前半戦で9勝を挙げ、オールスターゲームにも初選出されました。シーズン通算では18勝5敗、防御率2.54、リーグ1位の勝率.783を記録。サイ・ヤング賞の投票では4位に入りました。

1993年、1試合14奪三振の球団記録を樹立するなど前半戦で10勝を挙げ、2年連続でオールスターゲームに選出されるも、故障で一時離脱。14勝6敗、防御率4.46と成績を落としました。

1994年は初の開幕投手を務め、前半戦で13勝を記録し、3年連続でオールスターゲームに選出。ストライキによりシーズンが打ち切られるも、16勝5敗、防御率3.06という好成績を収め、サイ・ヤング賞の投票では4位に入りました。

1995年には自己最長となる8連勝を記録。後半戦は10勝4敗、防御率2.44と安定した成績を残し、19勝9敗、防御率3.29、リーグ最多の4完封を記録し、最多勝のタイトルを獲得しました。

1996年はリーグ最多の36試合に先発するも、防御率4.81と不安定なシーズンを送りました。しかし、チームはワイルドカードでポストシーズンに進出。自身も初のゴールドグラブ賞を受賞し、以後4年連続で受賞しました。

1997年は5月30日のインディアンス戦で9回一死までパーフェクトに抑えるも、惜しくも快挙を逃します。6月30日には通算100勝を達成。前半戦で10勝を挙げ、3年ぶりにオールスターゲームに選出されました。シーズンでは15勝8敗、防御率3.20、218奪三振を記録し、チームの地区優勝に貢献しました。ポストシーズンでも好投を見せるも、チームはリーグ優勝を逃しました。オフには球団と3年契約を締結。

1998年には8回二死までパーフェクトを抑えるも、またも快挙を逃します。故障の影響もあり13勝に留まりました。1999年は自身ワーストの10失点を喫する試合もありましたが、前半戦で11勝を記録。最終的に18勝を挙げ、サイ・ヤング賞の投票では2位となりました。

2000年は11勝15敗と負け越しましたが、リーグ最多の237.2イニングを投げ、リーグ3位の防御率3.79を記録しました。オフにFAとなりました。

ニューヨーク・ヤンキース時代

2000年11月30日、ヤンキースと6年総額8850万ドルで契約。2001年には古巣オリオールズ戦で通算150勝を達成。9月2日のレッドソックス戦では、9回二死までパーフェクトに抑えながらも、またも快挙を逃しましたが、13奪三振で完封勝利。17勝11敗、防御率3.15の成績でチームの地区4連覇に貢献。ポストシーズンではワールドシリーズに進出しましたが、優勝を逃しました。2年ぶりにゴールドグラブ賞を受賞。

2002年は18勝10敗、防御率4.05の成績で、チームは地区5連覇。ポストシーズンではディビジョンシリーズで敗退しました。

2003年には通算2000奪三振を達成。最終的に17勝8敗、防御率3.40を記録。チームは地区6連覇。ポストシーズンではリーグ優勝を果たしましたが、ワールドシリーズでは敗退しました。

2004年、通算200勝を達成。シーズンでは12勝9敗、防御率4.59と不本意な成績に終わりました。ポストシーズンではリーグチャンピオンシップシリーズで敗退。

2005年は肘の状態が悪く、速球のスピードが低下。13勝8敗、防御率4.41の成績でした。ポストシーズンではディビジョンシリーズで敗退しました。

2006年は15勝7敗、防御率3.51を記録。15年連続2桁勝利を達成。オフに2年契約で残留しました。

2007年は腰痛や肉離れに悩まされ、不安定なシーズンを送りましたが、11勝を記録し、16年連続2桁勝利を達成。防御率はキャリアワーストの5.15でした。

2008年は年齢的な限界説を覆し、シーズン最終登板で20勝を達成。39歳9ヶ月での20勝は史上最高齢記録でした。この年限りで現役引退を表明しました。

引退後

2019年1月23日、アメリカ野球殿堂入りを果たしました。

プレースタイル

ムッシーナは、優れた制球力と多彩な球種を武器に、打者を翻弄する技巧派投手でした。特に、カーブ、スライダー、チェンジアップを巧みに操り、打者のタイミングを外す投球スタイルが特徴でした。

受賞歴

最多勝利：1回（1995年）
ゴールドグラブ賞：7回（1996年 - 1999年、2001年、2003年、2008年）
* MLBオールスターゲーム選出：5回（1992年 - 1994年、1997年、1999年）

ムッシーナは、メジャーリーグの歴史に名を刻む名投手として、今もなお多くのファンから愛されています。

もう一度検索