マイケル・フーパー

オーストラリアが誇る屈指のフランカー、マイケル・フーパー（Michael Hooper）は、1991年 10月29日にニューサウスウェールズ州シドニーで生まれました。身長182cm、体重101kgという強靭な肉体を活かし、フィールド上で存在感を発揮する選手です。

選手キャリアの幕開け

彼のキャリアは、2010年にスーパーラグビーのブランビーズへ加入したことから本格的にスタートします。同年3月26日には、チーフス戦で念願のスーパーラグビーデビューを果たしました。また、この年にはラグビー界の若手育成大会である第3回IRBジュニア世界選手権（アルゼンチン大会）にU20オーストラリア代表として選出され、国際舞台での経験を積み始めます。

翌2011年、イタリアで開催された第4回IRBジュニア世界選手権では、フィジーとの試合でU20チームのキャプテンを任されるなど、リーダーシップの片鱗を見せました。この大会での活躍が認められ、見事「最優秀国際選手」に輝き、その才能は世界に知られることとなります。

オーストラリア代表「ワラビーズ」での活躍

マイケル・フーパーは、2012年6月5日に行われたスコットランド代表戦で、念願のオーストラリア代表初キャップを獲得しました。彼はすぐにチームの重要な一員となり、同年にオーストラリア代表が行った15回のテストマッチのうち、13試合に出場するなど、その地位を確固たるものにしました。

2012年のスーパーラグビーシーズン終了後には、ワラターズへ新たな活躍の場を移します。ここで彼はチームの中心選手となり、2014年にはキャプテンとしてチームを牽引。決勝で強豪クルセイダーズを破り、ワラターズにとって初めてとなるスーパーラグビー優勝の栄光をもたらしました。この功績により、同年にはオーストラリア代表のキャプテンにも就任。名実ともにオーストラリアラグビー界を代表する選手となります。

ワールドカップ、そして日本での挑戦

オーストラリア代表キャプテンとして、彼はラグビーワールドカップの舞台でも活躍を見せます。2015年のイングランド大会では、準決勝のアルゼンチン戦で国際テストマッチ50キャップを達成する節目を迎えました。続く2019年の日本大会にも出場し、ワールドカップという最高峰の舞台でその実力を示しました。

2020年には、日本のトヨタ自動車ヴェルブリッツ（現在のトヨタヴェルブリッツ）へ加入することを発表。新たな挑戦の場を日本に求めました。2021年2月20日、ジャパンラグビートップリーグ開幕節の東芝ブレイブルーパス戦に途中出場し、日本のファンにそのプレーを披露しました。2021年5月15日の準決勝まで、トヨタヴェルブリッツの一員として合計10試合に出場し、チームの躍進に貢献しました。

日本でのシーズンを終えた後、2021年5月には再び古巣のワラターズへ復帰しています。

代表キャリアの終盤と新たな道

オーストラリア代表では、2020年10月のオールブラックス（ニュージーランド代表）戦で記念すべき100キャップを達成しました。これは、当時の最年少記録（28歳348日）での快挙でした。しかし、この記録は翌2021年2月にウェールズ代表のジョージ・ノース（28歳319日）によって塗り替えられています。

長年にわたり代表の中心選手として活躍してきたフーパーですが、2023年には転換期を迎えます。エディー・ジョーンズ氏がヘッドコーチに就任し、チームの若返りが図られた結果、ラグビーワールドカップ2023フランス大会の代表メンバーから外れることとなりました。

その後、彼は15人制からセブンズへ活躍の場を移す挑戦を始め、2024年にはセブンズのオーストラリア代表として12試合に出場しました。しかし、同年夏のパリオリンピックに向けた代表チームには惜しくも選ばれませんでした。

2024年6月30日、自身のSNSを通じてオーストラリア代表からの引退を正式に発表しました。代表としての最後の試合は、2023年7月9日に行われた南アフリカ戦で、これが彼の125キャップ目となりました。長きにわたる代表キャリアに幕を下ろしたのです。

その後の動向と功績

オーストラリア代表引退後、再び日本の地でプレーすることを決めます。2025年1月25日、ジャパンラグビーリーグワンのトヨタヴェルブリッツへ再加入することが発表されました。これは、トップリーグ時代に在籍した2021シーズン以来、約4年ぶりのチーム復帰となりました。しかし、短期間の在籍となり、2025年5月11日にはトヨタヴェルブリッツからの退団が発表されています。

選手としての輝かしい功績の一つとして、2021年にはワールドラグビーが選出する「男子15人制ドリームチーム」に名を連ねています。これは、彼が世界最高峰のフランカーの一人として認められている証と言えるでしょう。

マイケル・フーパーは、その卓越したタックル、運動量、そしてリーダーシップで、オーストラリア国内外の多くのラグビーファンを魅了しました。彼のキャリアは、若くして頭角を現し、長年にわたり世界のトップレベルで活躍を続けた稀有な例として、ラグビー史にその名を刻んでいます。

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