マウイ (ハワイ神話)

ポリネシア神話の大英雄、マウイ

マウイは、ポリネシア神話において最も有名な半神であり、大英雄として広く知られています。ハワイ神話においても重要な役割を担い、「イタズラ好き」として様々な伝説を残しています。ハワイの神話集『クムリポ』によると、マウイはアラカナと妻ヒナの子として生まれ、兄弟姉妹が数名いたとされています。

ハワイ諸島に名を冠したマウイ島ですが、その名称は、この半神マウイに由来するのではなく、ハワイ諸島の発見にまつわる別のマウイという人物にちなむと言われています。

マウイの活躍

マウイは、魔法の釣り針「マナイアカラニ」を駆使して、数々の偉業を成し遂げました。その釣り針は、夜空のさそり座に似た形をしていると伝えられています。

ハワイ諸島の創造

マウイは、兄たちと共に釣りに出かけた際、マナイアカラニを用いて海の底から巨大な魚を釣り上げました。その魚こそが、ハワイ諸島であったのです。マウイは、兄たちに船を漕がせ、後ろを振り返らないよう厳命。兄弟が気づいたときには、すでに島が釣り上げられていたという伝説が残されています。この過程を繰り返し、マウイはハワイ諸島を海の中から引き上げたと言われています。

太陽の征服

マウイは、母ヒナが布を乾かすのに十分な時間がないほど、太陽の運行が速すぎることに気づきました。そこで、マウイはマウイ島のハレアカラ山（「太陽の家」という意味）で日の出を待ち、妹の髪で作った縄で太陽を捕らえました。太陽は助けを求め、マウイは昼の長さを調整し、夏には昼を長く、冬には昼を短くするようにしたのです。

漁師としての生活

マウイは、ハレアカラ山の麓で漁師として生活を送っていました。しかし、普段の漁には魔法の釣り針は使いませんでした。兄たちはマウイの漁獲量の少なさを嘲笑う歌を歌いましたが、マウイはいたずらで彼らに仕返しをしました。

空の昇天

マウイは、空が低すぎることに気づき、モロカイ島のラハイナに住む父親と共に空を持ち上げました。もし彼らがそうしなかったら、空はもっと低く、人間が歩くことさえ困難だったでしょう。

巨大ウナギの退治

ハワイ諸島を創造した後、マウイは島々を巡りましたが、人々は住んでいませんでした。妻のヒナが巨大なウナギ「トゥナ」に襲われたことをきっかけに、マウイはトゥナを退治し、人々が島に戻ることを可能にしました。退治したトゥナを焼いた場所からは、ココナツの木が生えてきたと言われています。

マウイの現代における表現

2016年のディズニー映画『モアナと伝説の海』では、マウイは両親に捨てられた後、神々の加護を受けて半神となり、変身能力を持つ魔法の釣り針を授かり活躍します。また、ハワイの歌手イズラエル・カマカヴィヴォオレのアルバム『Facing Future』では、「Maui Hawaiian Sup'pa Man」という楽曲でマウイが歌われています。

マウイの伝説は、ハワイの人々の文化や自然観を深く反映しており、現代においても人々の心に深く刻まれています。彼の物語は、自然の力への畏敬の念と、それを巧みに操る人間の知恵を象徴する、美しく力強いものです。

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