マウソニア

マウソニア（Mawsonia）

マウソニアは、中生代後期のジュラ紀チトニアンから後期白亜紀セノマニアンにかけて活躍した肉鰭類に属する魚の一種です。この魚はシーラカンス目に分類され、マウソニア科（Mawsoniidae）の一員であり、同目において最も大きな種を含む特徴があります。化石は主に南米やアフリカで見つかっており、北米の標本も一部確認されています。

形態

マウソニアの特徴として、現存するラティメリアと同様に10本の鰭を持つことが挙げられます。口内は小歯（denticle）で覆われており、大きな歯は存在しません。この特徴から、捕食者としての特性が考察されています。

主な種

マウソニア属には、複数の種が確認されており、中には未命名種も存在します。代表的な種は以下の通りです。

• - マウソニア・ギガス（M. gigas）

この種はマウソニア属のタイプ種であり、シーラカンス目の中でも最大のもので、主にブラジルやウルグアイで化石が発見されています。最古の記録は後期ジュラ紀に遡り、前期白亜紀の記録が多く存在します。2021年の推定では、全長は最大で約5.3mに達する可能性があります。

• - マウソニア・ブラジリエンシス（M. brasiliensis）

この種は全身の化石が見つかっており、ブラジルのセアラー州アラリペ台地のアプチアンからセノマニアンの地層で発掘されました。全長143.5cmで、2008年の研究ではM. gigasの同種異名とされました。

• - マウソニア・リビカ（M. libyca）

エジプトのBahariya Formationから発見されたこの種は、スピノサウルスと同じ地層から知られています。標本が破壊された過去がありますが、後に新たな標本が見つかりました。

• - マウソニア・ソバ（M. soba）

部分的な化石がカメルーンのBabouri-Figuil Basinから見つかっており、ベリアシアンからバレミアンの地層に位置しています。

未命名種としては、2021年に発見されたM. sp.がアメリカ合衆国テキサス州のWoodbine Formationから確認されています。これはマウソニア属の広い生息範囲を示しています。

転機となる種

かつてマウソニア属に分類されていた著名な種として、アクセルロディクティス・ラボカティ（Axelrodichthys lavocati）があります。この種はモロッコやアルジェリアからの化石で知られ、スピノサウルスなどと同じKem Kem Groupでも見つかっています。もともとマウソニア・ラボカティとして知られていましたが、2019年に新たに分類されアクセルロディクティス属に移されました。ただし、標本には両属のものが混在している可能性があるため、注意が必要です。北九州市立いのちのたび博物館には、M.ブラジリエンシスと現生シーラカンスの骨格を基にした全身骨格が展示されています。

古生態学

発見されたマウソニア及びアクセルロディクティスの化石は、主に淡水域や汽水域から見つかっていますが、ブラジルのサンタナ累層のような海洋環境にも化石が存在します。この海洋環境は閉鎖的で、沖合とは連続していなかったと考えられています。これにより、マウソニアとアクセルロディクティスが海洋に分散することはなかったと推測されており、これがその生態系における位置を示唆しています。

参考文献

各種の化石記録や生態的特性に関する研究が進められており、今後の発掘や研究によって新しい知見が期待されます。

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