マオカラースーツ

マオカラースーツについて

マオカラースーツ（Mao-collar suit）は、立襟のデザインが特徴のスーツで、主に慶弔事などフォーマルな場で着用されます。このスタイルは毛沢東に因んで名付けられ、中国の国民服や学生服に似たデザインが由来とされています。日本では、マオカラースーツは比較的珍しい存在で、「学ランに似たスーツ」として認識されることがあります。

起源と発展

「マオ」という名称は、中国の指導者である毛沢東から来ており、彼がこのスタイルを採用したことからその名がつきました。国外では、インドの政治家ジャワハルラール・ネルーもこのスタイルの上着を好んで着用したことから、ネルージャケットとも呼ばれています。ネルージャケットは1940年代にインドで発展し、従来の長い上着を腰の位置でカットした形式が特徴です。これが欧米にも広まり、1960年代以降、東洋に対する興味が高まる中で、マオカラースーツが浸透し始めました。

日本国内では、著名な政治家や特殊な職業に従事する人々に好まれることが多く、一般的にはあまり見かけることはありません。著名な愛好者には、政治家の羽田孜・雄一郎、マジシャンのMr.マリック、料理研究家の服部幸應、プロレスラーの橋本真也などがいます。また、アリババの創業者である馬雲もマオカラースーツを愛用していることで知られています。ファッションデザイナーの小西良幸は、このスタイルの愛好者を「マオラー」と呼んでいます。

スーツの構成

上着

マオカラースーツの上着は、ビジネススーツとしては適さない形状をしています。慶弔事での着用が主であり、色は主に黒や濃紺が選ばれますが、著名人や愛好者によっては様々なカラーバリエーションも見られます。使用する生地には、羅紗、カシミヤ、ウーステッド、絹などがあり、最もフォーマルなスタイルとされるのはノーベントのものです。

スラックス

スラックスは、シングルまたはモーニング・カットのデザインが一般的で、上着と同じ生地のものが望まれます。

ワイシャツ

マオカラースーツを着用する際、通常はスタンドカラーの白無地のシャツが選ばれることが多く、レギュラーカラーのシャツも許容されます。

アクセサリー

マオカラースーツでは、ネクタイやネクタイピンなどの装飾品は基本的に使用しません。そのため、カフリンクスも特定の条件を除いて使用されることは少ないです。慶事には真珠やホワイトオニキス、夜間にはオニキスなどのカフリンクスが好まれます。

革靴とソックス

靴は黒い紐付きの靴が基本で、種類はストレートチップかプレーントゥがフォーマルとされています。靴下は慶事においては黒無地または白黒の縞柄が選ばれますが、弔事では黒無地を用いることが一般的です。

マオカラースーツの着こなし

マオカラースーツの装飾や配件については、色や素材のコーディネートを重視する必要があります。金属や革は色を合わせるのが基本で、靴などは光沢のないものが推奨されます。特に、フォーマルな場での服装の整え方には注意を払い、ポケットやボタンの色など、細部に至るまで気を配ることが大切です。

このように、マオカラースーツはその独自のスタイルと歴史を持ち、特定の場面において非常に重要な役割を果たす服装です。

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