マキアスシール島

マキアスシール島について

マキアスシール島（Machias Seal Island）は、アメリカ合衆国メイン州カトラーの南東約16キロメートル、カナダのニューブランズウィック州グランドマナン島から南西約19キロメートルに位置する小さな島です。この島の領有権を巡ってアメリカとカナダの間には長い歴史があり、現在でも両国は自身の領土であると主張しています。さらに、この島は海鳥の重要な繁殖地として知られています。

地理的特徴

マキアスシール島は、長さ約600メートル、幅約400メートルの涙滴形の島で、主に花崗岩から成っています。周囲には浅瀬や岩、小島が点在しており、特に西側と北側のグランドマナン海峡は深い水域となっています。島自体は裸地が多く、樹木はほとんどありません。ここはファンディ湾とメイン湾の境界に位置するため、年間を通じて霧が多く発生します。この島は、ニシツノメドリやオオハシウミガラスなど、様々な海鳥のサンクチュアリとしても知られています。

歴史的背景

島の歴史を遡ると、先コロンブス期にパサマクォディ族がこの地域を利用していた形跡があるものの、フランスや英国が探検するまで定住者は現れませんでした。アメリカ独立戦争が終結した1783年、パリ条約によりアメリカと英国の国境が画定されました。この条約に基づき、沿岸から20リーグ以内の島々はアメリカに属するとされましたが、依然としてこの地域の境界は曖昧な状態でした。

1621年にノバスコシアが英国王からウィリアム・アレクサンダー卿に払い下げられ、これが後の領有権争いの根拠となります。この際、ノバスコシアの領域については沿岸から6リーグ以内の海上範囲が含まれるとされ、結果的にマキアスシール島もその範囲内に位置していました。

その後、米英間で締結されたジェイ条約では、マキアスシール島は直接的には言及されなかったものの、領有権主張は続きます。1814年のガン条約後の合同国境委員会の決定により、近隣の島々が分配される中、マキアスシール島の立場は依然として不明瞭なままでした。

現在の状況

今日、マキアスシール島はカナダ沿岸警備隊によって管理され、1832年に灯台が建設されて以来、その維持が行われています。カナダはこの島を連邦の所有地と見なしており、島内にカナダ人が所有権を主張することはできません。1970年代から1980年代には灯台守が家族とともに生活していた時期もあり、今日では鳥類保護区としての機能が強化されています。

一方で、アメリカは依然として領有権を主張しており、その根拠として灯台建設とその後の実効支配の継続を挙げています。しかし、アメリカはカナダのように積極的な行動をとっておらず、多くの州政府機関でも姿勢が一貫しないことが見受けられます。

縁の下の力持ち

1984年の国際司法裁判所の判決によっても、マキアスシール島の帰属は決まらず、周囲の「グレーゾーン」において漁業者が濫獲を行う状況が続いています。また、灯台守はヘリコプターで交代し、保護区の維持管理に取り組んでいます。これらの現状を通じて、マキアスシール島は複雑な国境問題と自然保護の狭間に存在していることが明らかです。

マキアスシール島は、領有権争いの象徴でありつつ、貴重な生態系を有する島として、両国の関係や環境保護の課題を考える上で重要な位置を占めています。

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