マクシム・ショスタコーヴィチ

マクシム・ショスタコーヴィチ：父の遺志を継ぐ音楽家

マクシム・ドミトリエヴィチ・ショスタコーヴィチ（Maxim Dmitrievich Shostakovich、1938年5月10日 - ）は、ロシア出身の著名な指揮者・ピアニストです。作曲家ドミートリイ・ショスタコーヴィチの息子として、幼い頃から音楽に囲まれた環境で育ちました。

ピアニストから指揮者へ

当初はピアニストとして才能を発揮し、モスクワ音楽院とレニングラード音楽院（現サンクトペテルブルク音楽院）でピアノを学びました。特にレニングラード音楽院では、名教師ヤコフ・フリエールの指導を受けました。音楽院在学中に指揮への関心を深め、ニコライ・ラビノヴィチ、アレクサンドル・ガウクといった名指揮者に師事。さらに、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーの下で研鑽を積みました。

国際的な指揮者としての活躍

音楽院卒業後、ソビエト放送交響楽団の首席指揮者に就任し、その才能を開花させました。1981年にはアメリカ合衆国へ亡命し、新天地でさらなる活躍を遂げます。ニューオーリンズ交響楽団や香港フィルハーモニー管弦楽団など、世界各地のオーケストラを指揮し、国際的な評価を確立しました。サンクトペテルブルク交響楽団との共演も特筆されます。

父ドミートリイ・ショスタコーヴィチとの絆

マクシム・ショスタコーヴィチは、父ドミートリイ・ショスタコーヴィチの作品の普及に大きく貢献しています。特に、父の交響曲第15番の初演（1972年）を指揮したことは、音楽史に残る出来事と言えるでしょう。その後も、父の知られざる作品を積極的に取り上げ、録音するなど、その功績は計り知れません。父のピアノ協奏曲第2番は、マクシムのために作曲され、彼の独奏によって初演されました。このことからも、父子の深い絆が伺えます。

ラフマニノフ演奏と録音

父の作品以外にも、セルゲイ・ラフマニノフを得意としており、数多くの録音を残しています。メロディア、コリンズ、スプラフォンといったレーベルからリリースされており、特にメロディアから発売された父の交響曲第15番やバレエ組曲「黄金時代」「ボルト」、映画音楽などの録音は高い評価を得ています。スプラフォンからは、プラハ交響楽団を指揮したショスタコーヴィチ交響曲全集がリリースされています。

家族

父：ドミートリイ・ショスタコーヴィチ（作曲家）
母：ニーナ・ヴァルザル
* 息子：ドミートリイ・マクシーモヴィチ・ショスタコーヴィチ（ピアニスト）

息子ドミートリイもピアニストとして活躍しており、マクシムの指揮、ドミートリイ2世のピアノ独奏によるショスタコーヴィチのピアノ協奏曲集のCDがシャンドス・レーベルからリリースされています。音楽一家として、その才能は世代を超えて受け継がれています。

マクシム・ショスタコーヴィチは、父の遺志を継ぎ、その音楽を世界に広めるとともに、自身の才能を活かして国際的な音楽シーンで輝きを放ち続けています。

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