マクドネル・ダグラス MD-12

マクドネル・ダグラス MD-12

マクドネル・ダグラス MD-12は、1992年4月に発表された超大型の4発ジェット旅客機であり、その企画は航空業界において広く注目を集めましたが、実現には至らず、結果として航空史の中で重要な一幕として残りました。

概要

MD-12は、マクドネル・ダグラスが既存のMD-11の胴体を延長し、さらに大人数を収容できるようにした設計のもとで提案されました。元々は「MD-11 SS」（スーパーストレッチ）として知られていましたが、後に「MD-12X」と改称されました。基本的にはMD-11の主翼を用い、燃料容量の問題から航続距離には限界があったため、十分な受注を得ることができずにいます。さらに、DC-10から続く中央エンジンの配置は、新型エンジンの搭載にとって障害となりました。

そこで、機体の設計について大幅な改定が行われました。新しいデザインでは、全く新設計の主翼と、4発エンジンが高い性能を奮い立てる形で装備された新型の機体として発表されたのです。その総二階建ての客室も特徴的で、これは当時のボーイング社やエアバス社の新しい巨大機に対抗する意図が込められていました。

設計と開発の背景

マクドネル・ダグラスは、MD-12Xの設計を航空会社向けに提案し、1991年には正式にその設計プロジェクトが承認されました。新機体の寸法は、全長約72メートル、翼幅は約64メートルであり、非常に大きな構造を持っていました。さらに、台湾エアロスペースとの共同開発のための新会社設立が決定され、業界での期待を膨らませていました。

しかし、1991年末には開発費が40億ドルを必要とすると見積もられ、マクドネル・ダグラスは分割体制への移行を決定しています。これによって、軍用機と民間航空機の生産を専門に分け、MD-12Xへの外国投資を引き寄せる狙いがありましたが、一方で資源の不足が心配される状況でもありました。

新設計の展開

最終的に発表されたのは、全長63メートル、翼幅64.5メートルと巨大なサイズを誇るMD-12という新型機でした。この新機体は、エアバスA380やボーイングNLAの設計理念と類似しており、航空企業の間で高い関心を持たれていました。初飛行の予定は1995年末とされ、1997年からの納入が見込まれていましたが、実際には受注を得られないままでした。

このタイミングで台湾エアロスペースがプロジェクトを後退させたこともあり、マクドネル・ダグラスの開発リソースは不足し、航空市場での競争が激化する中、MD-12構想は難航を極めました。

MD-XX計画

MD-12の計画が終了すると、マクドネル・ダグラスは300-400席規模のMD-11の派生機種に注力し始め、MD-XXという新たなモデルを提案しました。このMD-XXは、長距離用の3発機として設定され、さらには延長型や双発のバリエーションも考案されました。それでも、最終的には資金的な問題から正式な開発の決定には至りませんでした。

派生機種の構想

MD-12の設計上、様々な派生機種として考慮されていた選択肢が存在しました。中でも、MD-12 HC（大容量輸送仕様）、MD-12 LR（長距離仕様）、そしてMD-12 ST（延長型）などがありました。これらは全て、当時の航空需要に応える形で提案されたものですが、結局のところ実現には至らなかったのです。

まとめ

結局、マクドネル・ダグラスのMD-12計画は、航空業界の未来に大きな影響を与えつつも、最終的には実現しないままとなりました。その設計や理念は、後の航空機設計においても影響を及ぼし続けています。

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