マクラーレン・MP4-31

マクラーレンMP4-31：2016年シーズンの躍進

マクラーレンMP4-31は、2016年のF1世界選手権を戦うためにマクラーレンチームが開発したフォーミュラ1マシンです。2月21日に発表されたこのマシンは、前年のMP4-30で採用された「サイズゼロ」コンセプトを継承した設計となっています。

2016年シーズン、MP4-31は前年を大きく凌駕するパフォーマンスを発揮しました。予選では複数回Q3進出を果たし、決勝レースでも表彰台こそ逃すものの、着実にポイントを獲得。コンストラクターズランキングでも、前年の9位から6位へと順位を大きく上げたのです。

特に印象的なのは、ドライバーたちの活躍です。開幕戦で負傷したフェルナンド・アロンソの代役としてバーレーンGPに出場したストフェル・バンドーンは10位入賞を果たします。その後、アロンソとジェンソン・バトンはロシアGPでダブル入賞。スペインGPではアロンソがマクラーレン・ホンダ復活後初のQ3進出を果たすなど、シーズンを通して好成績を収めました。

モナコGPではアロンソが5位、バトンが9位と再びダブル入賞。オーストリアGPではバトンが予選5位を獲得、決勝では6位に入賞しました。ハンガリーGPではアロンソとバトンが揃ってQ3進出。ベルギーGPではアロンソがマシントラブルに見舞われながらも7位に入賞するという粘り強さを見せました。イタリアGPではアロンソがファステストラップを記録。マレーシアGPでは再びダブル入賞を果たし、アメリカGPでもアロンソ5位、バトン9位と4度目のダブル入賞という快挙を達成しました。

シーズンを通して、MP4-31はシャーシ、エンジン、ERSシステムなど、各構成要素の性能向上により、安定した速さと信頼性を確保していました。ホンダエンジンとの連携も強化され、シーズン終盤には表彰台争いに絡む場面も見られました。最終戦アブダビGPでは、ジェンソン・バトンがF1からの引退を表明。彼のキャリアを象徴するシーズンとなりました。

MP4-31の主なスペック

シャーシ:
シャーシ名：MP4-31
構造：カーボンファイバー/ハニカムコンポジット構造
ブレーキ：曙ブレーキ工業製
サスペンション：前後独立懸架、前輪プッシュロッド式/後輪プルロッド式トーションスプリング
無線：ケンウッド
ホイール：エンケイ
バッテリー：リチウムイオンバッテリー (20-25kg)
重量：702kg (ドライバー含む、燃料は含まず)
タイヤ：ピレリ P-Zero
エンジン (ホンダ RA616H):
タイプ：V型6気筒、90度
排気量：1,600cc
最高回転数：15,000rpm
ターボ：シングル
バルブ数：24
バルブ駆動：圧搾空気式
燃料：エクソンモービル High Performance Unleaded
潤滑油：モービル1 エンジンオイル
重量：145kg
ERS システム:
バッテリー出力：4MJ (1周あたり)
MGU-K 出力：120kW
MGU-K 最高回転数：50,000 rpm
MGU-H 最高回転数：125,000 rpm
ギアボックス: マクラーレン製 縦置き セミオートマチック・シーケンシャル電子制御 (クイックシフト) 8速＋リバース1速

MP4-31は、マクラーレン・ホンダ復活への道を切り開いた重要なマシンとして、F1の歴史に刻まれました。 チームの躍進、ドライバーたちの活躍、そしてホンダエンジンとの協調関係の進化など、多くのドラマが詰まった1年でした。

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