マクラーレン・MP4/3

マクラーレン・MP4/3

マクラーレン・MP4/3は、1987年にFormula1の世界選手権に登場したフォーミュラ1カーであり、スティーブ・ニコルズの設計によって生まれました。このモデルは、マクラーレンの前モデルMP4/2の成功を受けてさらなる競争力を持たせるために開発されました。

概要

MP4/2は1984年から1986年にかけて3年連続でドライバーズタイトルを獲得するという輝かしい成績を残しました。その後継機であるMP4/3は、80年代のF1における重要なマシンの一つです。設計を引き継いだスティーブ・ニコルズは、ジョン・バーナードの後を受け、マシンの開発に注力しました。

1986年のシーズン中、バーナードがチームを離れたことを受け、マクラーレンのロン・デニスはブラバムのゴードン・マレーを迎え入れMP4/3の開発を加速させました。マレーは、MP4/2Cからの変更を最小限に抑えつつも、シャシーの進化を重視する姿勢を貫きました。しかし、シーズン開始後、MP4/3はリヤのトラクション不足という大きな課題に直面しました。

1987年シーズンの戦績

MP4/3は、開幕戦のブラジルGPでアラン・プロストが勝利を収めるものの、その後ホンダエンジンを搭載したウィリアムズが台頭し、マクラーの戦いは厳しいものとなりました。プロストは、シーズン通算28勝目を得たポルトガルGPを制し、この勝利がMP4/3にとっての最後のものとなりました。シーズンを通じて、ハードな競争と不安定なシャシーセッティングの影響を受け、予選の最高位は2位にとどまりました。

シャシーセッティングと特徴

MP4/3の大きな課題は、そのデリケートなシャシーセッティングでした。特に、リアのグリップ不足はシーズンを通じて悩みの種であり、チームはさまざまなセッティングでその改善を試みました。時には、燃料を意図的に多めに積むことでリアタイヤのトラクションを増加させる手法を取ることもありました。プロストは、特にバンピーな道路状況でのマシンの不安定さに苦しみ、運転中に不安を抱くほどでした。

エンジンの問題

MP4/3に搭載されたエンジンは、タグポルシェ製のV6・1500ccで、様々なトラブルに見舞われました。特に序盤のサンマリノGPにおいて、エンジンに深刻な不具合が生じました。このトラブルは新たな電子制御プログラムの適用が原因だったため、ロン・デニスもこの失敗を認めざるを得ない事態に陥りました。シーズン中盤にかけても、ミス・ファイアやスロットルのトラブルが頻発し、チームを悩ませることとなります。

脚光を浴びたトラブル

マクラーレンは、元々の高いエンジニアリング能力にも関わらず、いくつかのマイナートラブルにも見舞われました。特にフランスGPでは、ヨハンソンが入賞圏内を走行中、オルタネーターベルトが切れてしまい、デニスはその事実に驚きを隠せない様子でした。このような小さなトラブルが勝利を奪う要因となり、シーズンを通じて結果を残せない要因になりました。

結論

最終的にMP4/3は、コンストラクターズランキングで2位に留まり、ウィリアムズに大きく水をあけられました。このシーズンに得られた76ポイントは、9勝を挙げたウィリアムズの137ポイントに比べ非常に厳しい結果でした。MP4/3は次の時代への橋渡しとなるマシンでしたが、ホンダエンジンとの関係が始まるきっかけともなった重要な一台でもありました。

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