マグニフィケイション (アルバム)

イエスのアルバム『マグニフィケイション』（Magnification）は、2001年に発表されました。このアルバムは、ジョン・アンダーソン（ボーカル）、クリス・スクワイア（ベース）、スティーヴ・ハウ（ギター）、アラン・ホワイト（ドラムス）という、イエスの主要メンバーに加え、オーケストラが参加している点が特徴です。

2000年に行われたツアー後、ビリー・シャーウッドとイゴール・コロシェフが相次いで脱退し、イエスはキーボード奏者を失いました。通常であれば、リック・ウェイクマンのようなキーボード奏者を補充するところですが、今回は新たな試みとして、キーボードが担当していたサウンドの拡大とオーケストレーションを、実際のオーケストラに委ねるという選択をしました。この大胆な決断が、アルバムに独特のサウンドスケープをもたらしています。

オーケストラ・パートのアレンジは、映画音楽界で活躍するラリー・グルーペが担当しました。彼は初期からのイエス・ファンであり、その熱意がアレンジにも反映されていると言えるでしょう。共同プロデューサーはティム・ウェイドナーが務めました。彼はエンジニア出身であり、スティーヴ・ハウのソロ・アルバム『タービュランス』のエンジニアリングを手掛けた経験を持っています。

アルバムの収録曲は、イエスの伝統的なプログレッシブ・ロックの要素を踏襲しつつも、オーケストラの壮大なサウンドが加わることで、新たな音楽的境地を開拓しています。各楽曲は、緻密な構成と高度な演奏技術に裏打ちされており、聴きごたえのある内容となっています。

DVDオーディオ盤もリリースされており、96kHz/24bitの高音質でサンプリングされたトラックが収録されています。通常の2chステレオや5.1chサラウンドでミキシングされたものが楽しめます。さらに、DVD-ROMコンテンツとして、壁紙やWindows用のスクリーンセーバーも収録されており、ファンにとっては嬉しい特典となっています。ドルビーデジタル方式によるDVDビデオプレーヤー対応音声も収録されているため、通常のDVDプレーヤーでも再生可能です。

『マグニフィケイション』は、イエスの音楽的探求心と革新性が結実した作品と言えるでしょう。キーボード不在という危機を乗り越え、オーケストラとの融合によって新たなサウンドを生み出したこのアルバムは、プログレッシブ・ロックの歴史においても特筆すべき作品として評価されています。

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