マサチューセッツ (戦艦)

戦艦「マサチューセッツ」（USS Massachusetts, BB-59）

アメリカ海軍が第二次世界大戦で使用したサウスダコタ級戦艦の3番艦であり、その艦名はマサチューセッツ州に由来します。7隻目の同名艦として知られています。現在は博物館船として、マサチューセッツ州フォール・リバーのバトルシップ・コーヴで一般公開されています。

起工から就役まで

1939年7月20日、マサチューセッツ州クインシーのベスレヘム・スチール社で起工された「マサチューセッツ」は、1941年9月23日にフランシス・ラヴァリング・アダムズ夫人によって命名・進水しました。そして1942年5月12日、初代艦長フランシス・E・M・ホイッティング大佐の指揮下、ボストンで就役しました。

北アフリカ戦線

就役後の訓練を終えた「マサチューセッツ」は、1942年10月24日にメイン州カスコ湾を出港し、北アフリカ侵攻作戦に参加するため西部方面任務群に合流しました。11月8日には、ヒューイット提督率いる第34任務部隊の一員としてカサブランカ沖海戦に参加しました。この海戦では、フランス海軍の戦艦「ジャン・バール」などと交戦し、フランス艦艇に大きな損害を与えました。

具体的には、第34.1任務群（ギッフェン少将）に属し、「マサチューセッツ」は「ジャン・バール」やカサブランカのフランス艦艇を封じ込める任務を担いました。フランス軍の砲台からの攻撃を受けつつも、「マサチューセッツ」は「ジャン・バール」へ砲撃を開始しました。煙で視界が悪い中、火器管制レーダーも使用不能となる状況下で、幾度か命中弾を与えました。この砲撃により、フランス駆逐艦「ル・マラン」が損傷、タンカー「Ile d’Ouessant」が沈没、客船「Porthos」が転覆するなど、大きな被害をもたらしました。さらに、「マサチューセッツ」はフランス巡洋艦「プリモゲ」や駆逐艦とも戦闘を行い、駆逐艦「ミラン」と「フグー」に命中弾を与え、「フグー」を沈没させました。

11月12日、フランス軍との停戦が成立し、「マサチューセッツ」は帰国の途につき、太平洋戦線への準備に入りました。

太平洋戦線での活躍

1943年3月4日にニューカレドニアのヌーメアに到着後、「マサチューセッツ」はギルバート諸島、ナウル、クェゼリンなどの砲撃作戦に参加しました。また、ホーランディア侵攻やポナペ島砲撃など、太平洋各地での上陸作戦を支援しました。その後、ピュージェット・サウンドでオーバーホールを受けました。

1944年8月1日に真珠湾を出港した「マサチューセッツ」は、レイテ沖海戦に第38.3任務群（シャーマン少将）の一員として参加しました。この海戦では、空母「プリンストン」が被弾し大破・沈没しましたが、「マサチューセッツ」を含む艦隊は日本軍の攻撃を撃退しました。その後、ハルゼー大将の指揮下、小沢機動部隊を追撃し、エンガノ岬沖海戦にも参加しました。さらに、第7艦隊からの救援要請を受け、栗田艦隊の追撃に参加しましたが、主力艦の捕捉には至りませんでした。

1944年12月には、ミンドロ島侵攻支援中に台風に遭遇。その後は台湾攻撃やリンガエン湾上陸支援に参加し、沖縄戦にも参戦しました。沖縄戦では、姉妹艦と共にクラーク提督の第58任務部隊第1群に所属し、南大東島への砲撃も実施しました。

1945年7月、「マサチューセッツ」は日本本土に対する最終攻撃に加わり、東京空襲に向かう空母部隊の護衛を行った後、釜石と浜松を砲撃しました。釜石への砲撃では、日本で2番目の規模の製鉄所を破壊し、浜松では石油コンビナートを破壊しました。8月9日には再び釜石を砲撃し、これが第二次世界大戦最後の16インチ砲の発射となりました。

戦後と現在

戦争終結後、「マサチューセッツ」はオーバーホールのためピュージェット・サウンド海軍工廠へ向かい、1946年1月にはカリフォルニア沖へ出航しました。その後、ハンプトン・ローズに到着し、1947年3月27日に退役、バージニア州ノーフォークの大西洋艦隊予備役艦隊入りしました。1962年6月1日に除籍されました。

愛称「ビッグ・マミー (Big Mamie)」として親しまれた「マサチューセッツ」は、1965年6月8日にマサチューセッツ記念委員会の管理に移管され、スクラップを免れました。同年8月14日、マサチューセッツ州フォール・リバーのバトルシップ・コーヴに係留され、第二次世界大戦で命を落とした人々への記念碑として、現在も一般公開されています。

1980年代にはレーガン政権の「600隻海軍」構想によりアイオワ級戦艦が再就役した際、「マサチューセッツ」の設備や部品が転用されました。1998年にはオーバーホールのためボストン湾の3番乾ドックに曳航され、翌年フォール・リバーに戻されました。

「マサチューセッツ」は、第二次世界大戦での戦功により11個の従軍星章を受章しました。

まとめ

戦艦「マサチューセッツ」は、その輝かしい戦歴と、戦後には博物館船としてその姿を留めていることから、アメリカ海軍の歴史において重要な存在です。北アフリカ戦線から太平洋戦線まで、数々の海戦に参加し、その巨砲で多くの戦果を上げました。現在では、その歴史を伝える貴重な存在として、多くの人々に親しまれています。

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