マジシャン (競走馬)

マジシャン(Magician)は、アイルランドを代表する競走馬にして、後に種牡馬としても成功を収めたサラブレッドである。その競走馬としてのキャリアは、2012年9月のデビュー戦から始まり、最初のレースでは9着と低迷したものの、その後見事な成長を遂げた。

2013年には、重賞初制覇となるディーステークスを制し、勢いに乗って挑んだ愛2000ギニーでは3馬身半差の圧勝劇でGI初勝利を飾る。続く愛ダービーへの出走は見送られ、マイル戦のセントジェームズパレスステークスに参戦するも、上位争いに加わることはできなかった。

しかし、マジシャンはその才能をブリーダーズカップ・ターフで再び開花させる。12.5倍という低い人気ながら、後方から鋭い末脚を繰り出し、圧倒的1番人気だったザフューグを半馬身差で下して見事優勝。この勝利により、同世代の強豪ドーンアプローチやトロナードを抑え、カルティエ賞最優秀3歳牡馬に選出されたことは、彼の才能を証明する大きな出来事であった。

2014年、マジシャンはドバイシーマクラシックに参戦するも6着と敗れる。その後、母国アイルランドに戻り、ムーアズブリッジステークスで通算5勝目を挙げたものの、タタソールズゴールドカップでは2着、プリンスオブウェールズステークスでもザフューグに敗れ2着に終わるなど、苦戦を強いられた。キングジョージ6世＆クイーンエリザベスステークスでは6着と大敗を喫し、米国遠征のアーリントンミリオンでも2着に終わった。

そして、連覇が期待されたブリーダーズカップ・ターフを前に、右前脚の故障により出走取り消し、現役を引退することとなった。短いながらも輝かしい競走生活に幕を閉じたのである。

引退後は、2015年からアメリカ合衆国のアッシュフォードスタッドで種牡馬入り。初年度の種付け料は1万2500ドルと、高い評価を受けていたことがわかる。その後、アイルランドのキャッスルハイド・スタッドを経て、イタリア、そして再びアイルランドで種牡馬としての生活を送ることとなった。

彼の血統背景には、3代母Brigidの子孫として、リッスン、タッチングスピーチ、ファッショニスタ、ヘンリーザナビゲーター、アスコリピチェーノといった著名な競走馬の名が連なる。

マジシャンは、その類まれな才能と短くも華々しい競走生活、そして種牡馬としての成功により、競馬史に名を残す偉大なサラブレッドとして記憶されている。彼の活躍は、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続け、その伝説はこれからも語り継がれていくであろう。競走成績に関する詳細は、Irish Racing.com、Equibase、netkeiba、JBISサーチ、Racing Postなどのウェブサイトで確認することができる。

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