マセラティ・グラントゥーリズモ

マセラティ グラントゥーリズモ/グランカブリオ：エレガンスとパフォーマンスの融合

マセラティ社が誇る高級クーペ、グラントゥーリズモ。その魅力的なデザインと高い走行性能は、多くの自動車愛好家を魅了してきました。本稿では、2007年から2019年まで生産された初代モデルと、2022年にデビューした2代目モデル、そしてオープンモデルであるグランカブリオについて、詳細に解説します。

初代グラントゥーリズモ（2007年 - 2019年）

初代グラントゥーリズモは、当時マセラティの主力車種であったクアトロポルテをベースに開発されました。2007年3月のジュネーヴモーターショーで発表されたその姿は、ピニンファリーナによる洗練されたデザインと、マセラティ伝統のスポーティさを融合したものでした。フロントからキャビンまでの長い距離が強調され、古典的な美しさと現代的な躍動感を両立。ホイールベースはクアトロポルテよりも延長され、4名乗車でも十分な快適性を確保したグランドツアラーとしての資質を備えていました。

メカニズム:

パワートレインには、4.2Lと4.7Lの2種類のV型8気筒DOHCエンジンが用意され、ヘッドカバーの色で識別されました。トランスミッションは、通常の6速ATと、マセラティ独自の6速セミAT「MCシフト」の2種類。AT車はエンジン直後に、セミAT車はリアアクスル直前にトランスアクスル方式で搭載され、重量配分と駆動輪の接地感に違いを持たせることで、異なる走りを実現していました。

ラインナップ:

初代グラントゥーリズモのラインナップは、基本モデルである「グラントゥーリズモ」、パフォーマンスを向上させた「グラントゥーリズモS」、快適性を重視した「グラントゥーリズモS AT」、そしてオープンモデルの「グランカブリオ」など、多彩なバリエーションが用意されました。「MCスポーツライン」や「MCストラダーレ」といった、モータースポーツ技術を取り入れた特別なモデルも存在しました。これらのモデルは、エンジン出力、トランスミッション、サスペンション、ブレーキシステムなどに違いがあり、それぞれが異なる走行体験を提供しました。

派生モデル:

カロッツェリア・トゥーリングによる限定生産モデル「トゥーリング・シャディペルシア」も忘れてはなりません。これは、1950年代にイラン皇帝に献上されたマセラティ5000GTへのオマージュとして作られた特別なモデルでした。

2代目グラントゥーリズモ（2022年 - ）

2022年に登場した2代目グラントゥーリズモは、ICE（内燃機関）モデルとEVモデル「フォルゴーレ」の両方が用意されました。これは、マセラティがICEとEVの両方に対応できるフレキシブルなプラットフォームを採用したことを示しています。

ICEモデルは、MC20に搭載された3.0L V6ツインターボエンジン「ネットゥーノ」のデチューン版を搭載。高い出力とトルクを誇り、力強い加速を実現しました。一方、EVモデル「フォルゴーレ」は、3基のモーターと大容量バッテリーにより、驚異的な加速性能と航続距離を実現。マセラティの電動化への取り組みを象徴するモデルとなっています。

2代目グラントゥーリズモは、初代モデルが持つエレガンスとパフォーマンスを受け継ぎつつ、最新の技術と環境性能を融合した、マセラティの新たな挑戦と言えるでしょう。

まとめ

マセラティ グラントゥーリズモは、ラグジュアリーとパフォーマンスを高い次元で融合させた、傑出したグランドツアラーです。初代モデルの洗練されたデザインと、2代目モデルの先進的な技術は、マセラティのブランドイメージを象徴するものです。その歴史と進化を紐解くことで、より深くグラントゥーリズモの魅力を理解できるでしょう。

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