マッチオフィシャル

ラグビーユニオンにおけるマッチオフィシャル

ラグビーユニオンの試合を円滑に進める上で欠かせないのが、審判団であるマッチオフィシャル（Match Officials）です。彼らは、1名のレフリー（主審）と、少なくとも2名のタッチジャッジまたはアシスタントレフリー（副審）で構成されます。さらに、試合によってはテレビジョンマッチオフィシャル（TMO）やファウルプレーレビューオフィサーが加わることもあります。

マッチオフィシャルの役割

レフリー（主審）: 試合全体を統括し、唯一の事実判定者として、競技規則に基づいた判断を行います。時間の管理やスコア記録も担当します。
タッチジャッジ: タッチラインに関するプレーや、キックによるゴールの成否を判定します。
アシスタントレフリー（副審）: タッチジャッジの役割に加え、レフリーの指示に従い、反則行為の報告など、レフリーの補佐を行います。
テレビジョンマッチオフィシャル（TMO）: ビデオ映像を用いて、トライの判定や危険なプレーの検証を行い、レフリーに情報を提供します。
ファウルプレーレビューオフィサー: イエローカードが出されたプレーが、レッドカード相当の危険なプレーであったかを、映像を用いて検証します。

マッチオフィシャルの歴史

ラグビーの黎明期には、公式のレフリーは存在せず、両チームのキャプテンがルールを定め、試合中は互いに仲裁を行っていました。この慣習が、現在のアドバンテージルールの起源となりました。

1884年の国際試合での判定を巡る紛争をきっかけに、1892年に国際ラグビーフットボール評議会（IRB）が設立され、各試合に1人のレフリーと2人のタッチジャッジを義務付けるルールが制定されました。その後、時代とともに審判員の役割は変化し、2000年代以降には、ビデオ判定を行うTMOが導入されました。2023年には、ファウルプレーレビューオフィサーが導入され、危険なプレーに対する判定の精度を高めています。

マッチオフィシャルの装備

試合中、マッチオフィシャルは以下の装備を必須とします。

コイン: コイントスで使用。
ホイッスル: レフリーが使用。
レッドカード: 退場を宣告する際に使用。
イエローカード: 一時退場を宣告する際に使用。
時計: レフリーが時間管理に使用。
スコアカード: スコアを記録。
フラッグ: タッチジャッジ、アシスタントレフリーが使用。

その他、審判員は選手と区別するため、目立つユニフォームを着用し、フィールド内を素早く動けるシューズを履きます。また、大きな試合では、イヤホンとマイクで他の審判員やTMOと連絡を取ります。

各審判員の任務

レフリー（主審）

レフリーは、試合における事実の判定者であり、競技規則を適用する責任者です。試合前には、両チームのキャプテンとコイントスを行い、時間を管理し、得点を記録します。また、選手交代の許可や、アシスタントレフリーからの意見を求めることもあります。

タッチジャッジ、アシスタントレフリー（副審）

タッチジャッジは、タッチに関するプレーやゴールキックの判定を行います。アシスタントレフリーは、タッチジャッジの役割に加え、レフリーの補佐を行います。試合中に反則があった場合には、旗を上げてレフリーに知らせます。彼らはレフリーの指揮下で行動し、レフリーの判断を覆す権限はありません。

テレビジョンマッチオフィシャル（TMO）

TMOは、ビデオ映像を用いて、危険なプレーやトライの判定を行います。レフリーの合図で、ビデオ映像の準備を開始し、様々な角度から撮影された映像を確認し、レフリーに情報を提供します。TMOとの会話は、通常、テレビ中継で視聴できます。

ファウルプレーレビューオフィサー

ファウルプレーレビューオフィサーは、イエローカードが出された反則プレーを、映像を基に8分間の時間内で検証します。その結果、より危険なプレーであると判断された場合は、レッドカードに判定が変更されます。

タイムキーパー

タイムキーパーは、試合時間の管理を行い、レフリーに時間を伝えます。前半・後半終了時には、ホーンを鳴らして知らせます。

インゴールジャッジ

7人制ラグビーでは、ボールがインゴールでレフリーやプレーヤー以外の人に触れた場合、インゴールジャッジがトライまたはタッチダウンを判断します。

日本のマッチオフィシャル

日本では、日本ラグビーフットボール協会が、以下の資格制度を設けています。

A級レフリー: 全ての試合でレフリーまたはアシスタントレフリーを担当できる。
B級レフリー: 支部協会または都道府県協会主催の試合を担当できる。
C級レフリー: 都道府県協会主催の試合を担当できる。
ミニラグビーレフリー: 12歳以下の試合を担当できる。
スタートレフリー: ノンコンタクトラグビーの試合を担当できる。

また、選抜されたレフリーは、「パネルレフリー」として、様々な大会で活躍しています。

育成制度

日本ラグビーフットボール協会では、ハイパフォーマンス部門に審判グループを設置し、レフリーの育成・強化を行っています。スタートレフリー制度を設け、12歳以上でもレフリー資格を取得できる機会を設け、若い世代のレフリー育成にも力を入れています。

国際試合のマッチオフィシャル

日本人レフリーも国際試合で活躍しており、今後もワールドカップを目指して、強化育成が進められています。

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ワールドラグビーは、エミレーツ航空が、マッチオフィシャルの育成プログラムの冠スポンサーを務めており、ジャージにロゴが掲載されています。また、ジャパンラグビーリーグワンのレフリーは、大和証券のロゴをジャージにつけています。

関連項目

ビデオ判定#ラグビー
レッドカード#ラグビー
シンビン
エミレーツ航空

外部リンク

ワールドラグビー「レフリーシグナル」
ワールドラグビー「競技規則」6条 マッチオフィシャル
ワールドラグビー「競技規則」7条 アドバンテージ
日本ラグビーフットボール協会「レフリーのための情報」
ワールドラグビー「PASSPORT」

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